【知っておこう】雷の季節到来!遠くで鳴っていても危険な理由と正しい避難方法

防災豆知識

この記事は広告を使用しています

こんにちは!SONAEAREBAです。

「雷」をテーマに記事にしていきます。

夏が近づくにつれて増えてくる雷。
「まだ遠くで鳴っているから大丈夫」
と思っていませんか?

実はそれが危険な考え方であることを
ご存じでしょうか。

今回は雷の基礎知識から最新の安全対策まで、
命を守るための重要情報をお届けします。

日本における雷の季節的特徴とは

皆さんは雷というと、
どの季節を思い浮かべますか?

多くの方が「夏」と答えるでしょう。
確かに日本では夏に雷が多く発生しますが、
実は雷は年間を通して観測されています。

夏と冬で異なる雷の発生パターン

気象庁のデータによると、
雷は夏・冬を問わず発生していますが、
夏(6~8月)は関東や中部、
近畿地方を中心とした広い範囲で多数の雷が
検知されており、年間の総検知数の大部分を
占めています。

一方、冬(12~2月)は日本海沿岸で
相対的に検知数が多くなっています。

特に8月は落雷被害の報告が最も多い月で、
落雷害のうち約30%(468件)が
8月に集中しているというデータもあります。
これは夏の強い日差しによって
地表近くの空気が暖められ、
上昇気流が発生することで積乱雲が
できやすくなるためです。

参考リンク:
気象庁ホームページ
「雷検知数の季節的特徴」

しかし注目すべきは、
雷は年中どこかで発生しやすいという
事実です。ウェザーニュースによると、
4月から9月は太平洋側、10月から3月は
日本海側での雷の報告が多くなっています。
真夏だけが雷シーズンではないのです。

参考リンク:
ウェザーニュース
「日本の落雷シーズンはいつ頃か?」

意外と多い梅雨時期の雷「梅雨雷」

出典:ACイラスト

梅雨の末期にも雷がよく発生することを
ご存知でしょうか?

これを「梅雨雷」と呼びます。

「雷が鳴ると梅雨が明ける」ということわざも
あるほど、梅雨末期には雷が多いのです。

夏の夕立に伴う雷も梅雨雷も、
積乱雲という背の高い雲から発生しますが、
その雲のでき方は異なります。

夏の夕立を引き起こす積乱雲は、
強い太陽が地面を照らし、
熱せられた地表付近の空気が上昇することで
発生することが多いです。

一方、梅雨雷をもたらす積乱雲は、
高温多湿な太平洋高気圧と、その北にある
涼しいオホーツク海高気圧などとの間にある
梅雨前線に伴ってできる積乱雲です。

また、梅雨末期の雷を伴う大雨は
夕立のように1時間程度ですぐにやむ
のではなく、数時間続くことが多いのが
特徴です。

これは同じ場所で積乱雲ができ続け
世代交代していくためで(線状降水帯)
その結果、河川の氾濫や土砂災害
発生しやすくなります。

夏季雷と冬季雷の違いを知ろう

雷には大きく分けて夏季雷と冬季雷という
2種類があります。

それぞれの特徴を知ることで、
季節に応じた対策が可能になります。

夏季雷(熱雷)のメカニズム

夏の上昇気流に伴って発生する雷を、
夏季雷や熱雷といいます。

夏の山岳部東南の斜面は、
強い太陽にさらされて、
昼頃には斜面付近からの上昇気流が
強くなります。

地表気温が30℃でも、
高度8300mではマイナス20℃位であるため、
上昇気流は高度が上がるほど激しくなり、
入道雲が形成されます。

この上昇気流中の水蒸気が減少して、
潜熱の放出が少なくなり、
周辺大気と上昇気流の温度差がなくなると
気流の上昇が止まり、ここが雲頂となります。

山岳部で発生した雷雲は発達しながら
内陸部に降りてきて海岸部近くで
夕方消滅するケースが多いです。

夏季雷の特徴は、
一度発生すると2〜3日続くことが多い点です。
また日本における夏季雷の多い地域としては
北関東、中部山岳、奈良盆地、北九州、南九州
などが挙げられます。

冬季雷の特徴と発生地域

冬の寒冷前線に沿って発生する雷を
冬季雷といいます。

冬季雷は世界的にも珍しく、
夏の雷とは積乱雲が発生するメカニズムが
異なります。

雷雲が低い位置にあることと、
非常に大きなエネルギーを持っていることが
特徴です。

気象庁の観測データを見ると、
金沢のような日本海側の地方では
冬に雷日数が多くなっています。

実は2010年までの30年間の平年値を
まとめたデータによると、年間の雷日数が
もっとも多かったのは石川県で、
約42日にのぼります。

全国平均が約19日ですから、
2倍以上も多いのです。

「遠くで鳴っているから安全」は危険な思い込み

出典:ACイラスト

「ピカッ」と光ってから「ゴロゴロ」
音が鳴るまでの時間を数えて、雷の距離を
推測する方法を知っている方も多いでしょう。

しかし、
その考え方には大きな落とし穴があります。

雷の音の伝わり方と距離の計算

雷の音は空気が振動することで伝わり、
1秒間におよそ340メートル進みます。

一方、光は電磁波という性質があるために
1秒間におよそ30万キロメートルも進むので、
私たちの目には光がほぼ瞬時に届きます。

例えば、
雷が光ってから10秒後に雷鳴が聞こえた場合、
距離にしておよそ3.4km、3秒後に聞こえたら
1kmくらいと計算できます。

この計算方法自体は間違っていませんが、
問題は計算の結果「まだ遠いから安全だ」と
判断してしまうことなのです。

雷雲の大きさと落雷の範囲

雷鳴が聞こえる範囲は通常10km前後ですが、
地形や風向きの影響を受けます。

風下だと15km、間に小高い丘や山などが
あると聞こえにくくなります。

一方、
雷雲の大きさは直径10kmくらいですが、
いくつかの雷雲がまとまっていると
20〜30km、寒冷前線付近で細長く雷雲が
連なっていると幅20km、長さ100km
なることもあります。

重要なのは、雷雲が放電すると稲妻が走る際、
稲妻の長さは平均7kmで、
長いものになると10〜15kmにもなる
ということです。

そして稲妻は雷雲のどこからでも走ってくる
ため、雷が聞こえる範囲(可聴範囲)
いれば、次の瞬間には自分に落雷する
可能性があるのです。

危険な誤解「雷は徐々に近づいてくるもの」

多くの人が勘違いしているのが、
「雷は徐々に近づいてくる」
というイメージです。

稲光が発してから音がするまでの時間を
測って、「まだ遠いから大丈夫」
思っていると危険です。

雷ナウキャストでは、
雷雲が急に発達することもあり、
活動度の出ていない地域でも天気の急変には
注意する必要があると警告しています。

つまり、雷鳴が聞こえる10kmの範囲
いれば、次の落雷が自分を直撃する
かもしれないのです。

参考リンク:
気象庁ホームページ
「雷ナウキャストとは」

公益財団法人スポーツ安全協会
スポーツ安全情報によれば、
「ピカッ!ゴロッ!」
つまり音が聞こえたり光が見えたりした
場合は、遠い近いに関係なく、
すぐにスポーツ活動を中断し、
避難するのが鉄則
だとされています。

参考リンク:
公益財団法人スポーツ安全協会ホームページ
「落雷事故を防ぐために」

雷による被害統計:知っておくべき事実

日本での雷による被害は
どの程度発生しているのでしょうか。

具体的な数字を見ていきましょう。

日本の落雷被害者数と死亡率

日本での年間の落雷被害者数は平均約20人で、
そのうち死亡者数が約13人とされています。

これは死亡率約70%という高い数値です。

落雷に当たる確率は100万分の1とされて
いますが、一度被害に遭うと命に関わる
重大な危険があることを示しています。

世界での年間被害者数は1000人ほどで、
死亡率は約30%です。

つまり日本の落雷死亡率は世界的に見ても
かなり高いといえます。

この理由の一つとして、
一般に雷から身を守るための知識が
あまり浸透していない点が挙げられています。

落雷の種類と死亡率の関係

落雷による人体への雷撃には
主に3種類あり、
それぞれ死亡率が異なります:

  1. 直撃
    雷が直接人体に落ちる場合で、
    死亡率は最も高いです。
    雷のパワーは100Wの電球90億個分に
    相当するとされています。
  2. 側撃
    雷が落ちた物体の近くにいた人間へと
    放電する現象で、死亡率は70%と直撃の
    次に高くなっています。
  3. 歩幅電圧
    落雷地点の近くにいるとき、
    地面を流れる電流の一部が人体にも
    流れる現象です。
    心臓に電気が流れる場合もありますが、
    ほとんどはしびれを感じる程度で
    死亡率はかなり低いとされています。

雷から身を守る正しい方法

雷から身を守るためには、
早めの避難と安全な場所の選択が重要です。
具体的な対策を見ていきましょう。

安全な避難場所はどこか

気象庁によると、鉄筋コンクリート建築、
自動車(オープンカーは不可)、バス、列車の
内部は比較的安全な空間とされています。

また、木造建築の内部も基本的に安全ですが、
全ての電気器具、天井・壁から1m以上
離れれば更に安全です。

参考リンク:
気象庁ホームページ
「雷から身を守るには」

安全な空間に避難できない場合の対応

出典:ACイラスト「かみなりしゃがみ」

近くに安全な空間がない場合は、
電柱、煙突、鉄塔、建築物などの高い物体の
てっぺんを45度以上の角度で見上げる範囲で、
その物体から4m以上離れたところ
(保護範囲)に退避します。

高い木の近くは危険ですから、
最低でも木の全ての幹、枝、葉から
2m以上は離れてください。

姿勢を低くして、持ち物は体より高く
突き出さないようにします。

雷の活動が止み、20分以上経過してから
安全な空間へ移動するのが良いでしょう。

NHK WEB
「雷(カミナリ)」対策 落雷の注意点は?

危険な避難場所を知っておこう

出典:ACイラスト

危険な避難場所として、
木や電柱など高いものの近くや
屋根だけしかない場所があげられます。

雨宿りをするような軒下は
危険な避難場所の代表例です。

落雷時に木のそばで雨宿りしてはいけない
と言われるのと同じように、
建物に雷が落ちた場合、近くにいる人に
落雷の電流が飛び移る(側撃雷)ことが
あるからです。

また、落雷が起きたとき死亡率を上げる行動
には、開けた場所にいることも挙げられます。
雷は高いところに落ちやすいので、
周りに何もないところでは自分に落ちる
可能性が高くなります。

スポーツ中の落雷対策

出典:ACイラスト

スポーツ中の落雷事故を防ぐためには、
以下の3つのポイントを押さえておくことが
重要です:

  1. 「ピカッ!ゴロッ!」はすぐに避難する
  2. 安全な避難場所は、閉め切ることの
    可能な鉄筋などの建物の中
  3. 最後の雷から何もない状態が
    30分経過してから再開する

避難を指示する役割は、
責任者だけが担うのではなくそこにいる
皆さん全員です。

全員が落雷の兆候に目を向けるようにし、
気づいた人が声を掛け合い速やかにその情報を
共有するようにして避難しましょう。

雷情報の活用法:事前に危険を察知する

雷の危険から身を守るためには、
事前に気象情報を確認することが大切です。
気象庁が提供している様々な情報を
活用しましょう。

段階的に発表される気象情報の理解

気象庁では、
雷の発生が予想される場合には、
天気予報や各種気象情報で注意を
呼び掛けています。

前日や当日の天気予報で雷の発生が
予想される場合には、
予報文で「雷を伴う」と表現し、
天気概況でも「大気の状態が不安定」
と解説されます。

雷注意報は、雷による被害が発生すると
予想される数時間前に発表されます。

また雷ナウキャストは、
雷の発生の有無に関わらず常時発表され、
雷の発生状況の解析と1時間先までの推移を
予報しています。

参考リンク:
気象庁ホームページ
「段階的に発表する気象情報の利用」

雷ナウキャストの利用方法

雷ナウキャストは、
雷の激しさや雷の可能性を1km格子単位で
解析し、その1時間後(10分~60分先)
までの予測を行うもので、
10分毎に更新して提供されています。

雷の解析は、
雷監視システムによる雷放電の検知及び
レーダー観測などを基にして活動度1~4で
表されます。

予測については、
雷雲の移動方向に移動させるとともに、
雷雲の盛衰の傾向も考慮されています。

雷ナウキャストでは、
雷監視システムによる雷放電の検知数が
多いほど激しい雷(活動度が高い:2~4)
としています。

雷放電を検知していない場合でも、
雨雲の特徴から雷雲を解析(活動度2)
するとともに、雷雲が発達する可能性のある
領域も解析(活動度1)します。

参考リンク:
気象庁ホームページ
「雷ナウキャストとは」

屋外活動前のチェックポイント

行動日の前日や当日の朝には
テレビやラジオなどで天気予報を確認し、
「雷を伴う」という表現がある場合は、
雷に遭遇した場合に備えた対応を
想定しておきましょう。

外出前には気象庁ホームページなどで
雷注意報の発表の有無を確認するほか、
雷ナウキャストで活動度1以上が
予想されている場合は、1時間以内に雷が
発生する可能性があることを認識し、
雷に遭遇した場合の対応を想定しておくこと
が大切です。

屋外では、周囲の空の状況に注意を払って、
雷鳴が聞こえたり、電光が見えるなど雷が
接近していることに気付いた場合や、

雷ナウキャストの活動度2~4が
予想されていることを確認した場合には、
速やかに安全な場所へ避難しましょう。

雷シーズンに備えるための準備

雷が多くなるシーズンを前に、
どのような準備をしておくべきでしょうか。

日頃からの避難場所の確認

いざというときに備えて、日頃から
「いま雷が鳴ったらどこに避難すれば安全か」
と考えながら周囲を見回しておくことが
大切です。

特によく行く公園やスポーツ施設、
ハイキングコースなどでは、あらかじめ安全な
避難場所を把握しておくと良いでしょう。

家族や仲間との情報共有

雷の危険性や避難方法について、
家族や友人、スポーツの仲間などと
情報を共有しておくことも重要です。

特に子どもには、雷が鳴ったらすぐに大人に
知らせることや、安全な場所に移動することを
教えておきましょう。

まとめ:雷の季節を安全に過ごすために

雷は美しい自然現象ですが、
同時に非常に危険なものでもあります。

今回の記事でお伝えした通り、
「遠くで鳴っているから安全」という考えは
大きな間違いです


雷鳴が聞こえる範囲(約10km圏内)
にいれば、次の瞬間に自分の近くに
落雷する可能性があります。

雷から身を守るためには、
以下のポイントを覚えておきましょう:

  1. 雷鳴が聞こえたら、距離に関わらず
    すぐに安全な場所へ避難する
  2. 安全な場所とは、鉄筋コンクリート
    建築物内や、完全に窓を閉めた自動車内
  3. 屋外では木の下や軒下は危険。
    高い物体から適切な距離を取った
    「保護範囲」に退避
  4. 外出前に気象情報をチェックし、
    雷注意報や雷ナウキャストを確認する
  5. 最後の雷から30分経過するまでは
    屋外活動を再開しない

日本の落雷による死亡率は世界的に見ても
高いとされています。

これは雷に対する正しい知識や対策が
十分に浸透していないことも一因です。

この記事を通じて、皆さんが雷の危険性を
正しく理解し、適切な行動がとれるように
なることを願っています。

天気予報で雷の予報が出ていたら、
外出先でも常に天候の変化に気を配り、
万が一の際には迅速に避難できるよう
心がけましょう。

雷の季節を安全に過ごすためには、
「用心に越したことはない」という姿勢が
何よりも大切です。

皆さんの安全な夏をお祈りしています!
SONAEAREBAでした。


地方自治体避難所開設用パーテーション

ダンボールやテントではない「新しい空間」
「エアトーレ」は日本の避難所を変えます。

バックの中に、あるという「安心」を。