ミャンマー中部M7.7大地震:1000km離れたバンコクでも甚大な被害、長周期地震動の脅威

自然災害を考える

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こんにちは!SONAEAREBAです。

2025年3月31日現在、
ミャンマー中部で発生した
マグニチュード7.7の大地震により、
1700人以上の死者が確認されています。

さらに注目すべきは、
震源から約1000km離れたタイの首都
バンコクでも高層ビルが倒壊する
など
大きな被害が発生している点です。

この異例の現象は
「長周期地震動」と呼ばれる特殊な地震波が
関係していると専門家は指摘しています。

本記事では、
この大地震の最新状況と
長周期地震動のメカニズム
そして私たちが学ぶべき教訓について
詳しく解説します。

ミャンマー中部大地震の概要

地震発生のタイミングと規模

2025年3月28日午後3時30分頃(日本時間)、
ミャンマー中部を震源とするマグニチュード
7.7の大規模地震が発生しました。

アメリカ地質調査所(USGS)の
報告によると、震源地はミャンマー第2の都市
マンダレーから約17.2キロメートルの地点で、
震源の深さはわずか10キロメートルという
浅い地震でした。

震源が浅かったことで地表への
影響が大きくなり、マンダレー周辺では
多くの建物が倒壊。

ミャンマー軍事政権は複数の地域で
非常事態を宣言する事態となりました。

被害の全体像

現地時間3月30日午後5時時点での報告
によると、この地震によりミャンマー
国内ではおよそ1700人が死亡
3400人が負傷、300人が行方不明
なっています。

マンダレーは歴史ある古都として知られ、
多くの歴史的建造物や寺院が立ち並ぶ
街でしたが、地震によりその美しい街並みは
一変してしまいました。

地元からの情報によれば、
マンダレー中心部にある観光名所の王宮や
マンダレー大学の一部が倒壊。

同大学では火災も発生し、複数の学生や職員が
建物内に閉じ込められているとの情報も
あります。

さらに、三菱商事などの合弁会社が運営する
マンダレー国際空港でも大きな揺れがあり、
従業員や旅客がビルの外に避難する騒ぎ
となりました。

首都ネピドーの国際空港では管制塔が倒壊して
運航を停止したとの地元報道もあります。

タイにまで及んだ震災の影響

バンコクでの異例の揺れ

最も驚くべきは、
震源から約1000キロメートル
南に位置するタイの首都バンコクでさえ、
強い揺れを観測したことです。

バンコク都内では、地震発生直後、
多くの人々が建物から一斉に避難。
商業施設の人々は非常階段を使って
次々と避難する様子が確認されました。

タイでは地震が「かなり珍しい」
されており、多くの市民は驚きと恐怖を
感じていました。

報道では現地の人々は
「働いていた時にすごく揺れた」
「最初、何も考えていなかった。
ただめまいを感じた。こんなこと(地震)
が起きるなんて考えたことがない」

と語っています。

バンコクでの被害状況

バンコク市内では建設中の高層ビルが倒壊し、
この事故により少なくとも7人が死亡
8人が負傷、117人が行方不明となりました。

最新の報道によれば、
倒壊したビルのがれきの中からは
28人の生体反応が確認されており、
救助隊は夜を徹して救助活動を続けています。

さらに衝撃的な映像として、
高層マンションのプールで波しぶきが
発生したり、他のビルでは水が滝のように
流れ落ちたりする様子が確認されました。

バンコクに滞在していた日本人旅行客は
「ホテルの20階にいてすごく揺れているな
という感じ。気付いたら床がめっちゃこう
なって(揺れて)いたから地震と思って
階段で20階から下りた」

と当時の状況を語っています。

インフラへの影響

地震の影響は
タイの交通・経済インフラにも及びました。

バンコク都内の鉄道はすべて運行を停止し、
タイのペートンタン首相は
「バンコクの鉄道は終日サービスを停止する」
と発表。

都内の公園を一時避難場所として開放する
措置を取りました。

また、タイ証券取引所(SET)
午後から取引を終日停止
経済活動にも大きな影響が出ました。

自動車産業では、
トヨタ自動車が中部サムットプラカン県の
工場で、ホンダが中部アユタヤ県の工場で、
日産自動車がバンコク郊外の工場で、
それぞれ稼働を一時停止する事態と
なりました。

現在、バンコク市内では電車や地下鉄が
ほぼ復旧
し、タイの航空当局はバンコクや
チェンマイなど6つの主要空港の点検を
終え通常業務に戻ったと発表するなど、
徐々に日常を取り戻しつつあります。

長周期地震動とは何か

長周期地震動の基本概念

なぜ震源から1000キロメートル以上離れた
バンコクでも大きな被害が出たのでしょうか?

その鍵を握るのが「長周期地震動」です。

専門家は、今回の地震が、離れた場所でも
揺れが長い時間続く「長周期地震動」だった
可能性が高いと指摘しています。

長周期地震動とは、
地震で発生する約2-20秒の長い周期で
揺れる地震動のことです。

周期が長いため、
低周波地震動とも呼ばれます。
通常の地震波と比べて、
長周期地震動は減衰しにくいという
特徴があり、震源から遠く離れた場所まで
伝わりやすい性質
を持っています。

長周期地震動の発生メカニズム

長周期地震動の発生には
主に二つの原因が考えられています。

一つ目は大規模地震で発生する
長周期の震動
です。
大規模地震になると大きな振幅とともに
長周期の地震波が発生し、
この波は小規模の地震に比べて遠距離でも
卓越する特性があります。

二つ目は軟地盤構造で増幅する表面波です。
堆積盆地などの柔らかい堆積層では
長周期の表面波(レイリー波およびラブ波)
の増幅が起こります。
震源からの経路上に柔らかい堆積層があると、
長周期地震動が効率的に伝わるのです。

高層建築物への影響

長周期地震動が及ぼす被害は主に、
地震動の周期が建物などの
固有振動と共振を起こすことで生じます。

長周期地震動は減衰しにくいため、
共振が長く続いて振幅が大きくなりやすい
という特徴があります。

特に高層ビルは固有周期が長いため、
長周期地震動との共振によって
大きく揺れることがあります。

数十分揺れが続くことがあり
「船に乗っているような」「酔うような」
表現される揺れを長時間経験することになり、
家具の転倒や移動などの二次被害も発生します。

ミャンマーの政治情勢と救助活動

内戦下での救助活動

ミャンマーでは
2021年2月の軍事クーデター以降、
国軍と民主派組織との内戦が続いています。

そんな中での大地震発生は、
救助活動をさらに複雑にしています。

衝撃的なことに、
地震発生からわずか数時間後には、
国軍からの爆撃を受けたとみられる
映像も撮影されています。

しかし、事態の深刻さを受け、
30日に民主派組織は救助活動を優先するため
停戦を発表しました。

国際支援の状況

このような政治的混乱の中、
国際社会からの支援も課題を抱えています。

日本政府も支援の準備を進めていますが、
複雑な政治情勢が援助物資の配布や
救助チームの派遣に影響を与える
可能性があります。

日本人への影響

在留邦人の状況

現在、マンダレーに住んでいる日本人1人と
連絡が取れなくなっており、
安否が懸念されています。

ヤンゴンの日本大使館は地震発生を受けて
ミャンマー滞在中の邦人向けに、
余震の可能性に触れ警戒を続けるよう
呼びかけています。

マンダレー在住の男性は日本経済新聞の取材に
よると「自宅と日用品店のガラスが割れ、多く
の商品が損害を受けた。電話やネットがかなり
通じにくい」と現地の状況を語っています。

参照記事:日本経済新聞
ミャンマーでM7.7の地震、140人超死亡
タイで工場停止

地震への備えと教訓

長周期地震動への対策

今回の地震は、
長周期地震動の脅威を
改めて認識させるものとなりました。

高層ビルが増えつつあるアジア各国では、
長周期地震動への対策が今後ますます
重要になると考えられます。

長周期地震動対策としては、
高層建築物の耐震設計の見直しや、
制振・免震技術の導入などが挙げられます。

また、高層ビル内での家具の固定や
避難経路の確保なども重要な対策となります。

遠距離でも油断せず

今回の事例は、
震源から遠く離れた場所でも
大きな被害が出る可能性が
あることを示しています。

特に大規模地震の場合、
遠距離であっても油断せず、
適切な避難行動を取ることの
重要性を教えてくれています。

日本でも東日本大震災の際には、
震源から約800km離れた大阪でも
「長周期地震動」によりビルの内壁が
はがれるなどの被害が発生しました。

バンコクのように
地震があまり発生しない地域でも、
大きな地震の際には建物から避難する、
エレベーターを使わないなどの
基本的な行動が命を守ることにつながります。

まとめ:今後の動向と教訓

ミャンマー中部で発生したM7.7の大地震は、
ミャンマー国内に甚大な被害をもたらした
だけでなく、1000キロメートル以上離れた
タイの首都バンコクにまで影響を
及ぼしました。

これは長周期地震動という
特殊な地震波が原因と考えられています。

現在も救助活動は続いていますが、
生存率が下がるとされる72時間の
タイムリミットが迫る中、
一刻も早い救出が望まれます。

また、ミャンマーの複雑な政治情勢が
救助活動に影響を与える可能性も
懸念されています。

今回の地震から学ぶべき教訓は
多岐にわたります。

特に、
震源から遠く離れた場所でも油断せず、
適切な避難行動をとることの重要性、
そして高層建築物の増加に伴う
長周期地震動対策の必要性は、
今後の防災計画に活かされるべき
重要なポイントでしょう。

私たちSONAEAREBAでは、
今後も地震に関する
最新情報や防災知識の提供
を続けていきます。


皆さまの安全と備えに少しでもお役に
立てれば幸いです。

引き続き、
ミャンマーとタイの被災地の一日も早い
復興を祈念いたします。