山梨県震度6弱、気象庁は「富士山との関連なし」。では過去、地震と富士山の噴火は、どう関係してきたのか。

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こんにちは!SONAEAREBAです。

6月26日午後10時29分、
山梨県東部・富士五湖を震源とする
地震が発生し、最大震度6弱を観測しました。


震源地は山梨県東部・富士五湖、
震源の深さは約20km、
地震の規模(マグニチュード)は5.6と推定されます。


気象庁によると、
山梨県で震度6弱以上の揺れを観測するのは
1924年に神奈川県西部で起きた地震以来です。


102年ぶりの揺れ。

震源地が富士山のすぐ麓ということもあり、
SONAEAREBAの過去記事
「富士山噴火と南海トラフの連動」へのアクセスが
急増しているとご報告いただきました。
関心が高まるのは当然のことだと思います。


ここで、最初にお伝えしておきたい事実があります。


気象庁火山監視課の担当者は
「地震前後で富士山の観測データに
特段の変化はない。富士山と震源は離れているため、
火山活動との関連はないとみられる」
と話しました。


今回の地震について、
気象庁は「火山活動との関連はないとみられる」
と明言しています。

これが、今この記事を書いている時点での
公式な見解です。


その上で、今日は
「では過去、地震と富士山の噴火は
どのように関係してきたのか」
という、
データに基づく考察をお届けします。


富士山にとって「明確な記録」があるのは噴火1回だけ


まず大前提として、これは重要な制約です。


歴史時代にあった10回の噴火の中で、
詳しい記録が残っているものは
江戸時代に起きた宝永噴火だけです。

富士山の噴火開始を事前に予知することは、
残念ながら確かなことはわかりません。

出典:静岡大学防災総合センター教授による解説
「富士山噴火」コラム
https://sakuya.vulcania.jp/koyama/public_html/
Fuji/hoei1707.html


富士山は過去10回ほど噴火していますが、
地震との関係を詳しく検証できる記録が残っているのは
「宝永噴火(1707年)」の1例だけです。

これから紹介する事例は、
この限られたデータに基づくものだということを、
まず押さえておいてください。


事例①:地震から噴火まで「明確な前兆」があったケース——宝永噴火


宝永噴火に先立つ1707年10月28日に、
宝永東海・南海地震が発生しました。
マグニチュード8.7にもなる巨大地震です。

宝永噴火は、
この地震のわずか49日後に起きたため、
地震が引き金となって火山噴火がおきた
典型例と考えられています。


このシリーズで以前お伝えした
「49日後の噴火」というのが、この事例です。

そして、ここからが重要です。


宝永地震後の富士山中では、
1日のうちに10〜20回の小地震がありましたが、
山ろくでは感じられませんでした。

これらの小地震が宝永地震の単なる余震ではなく、
富士山直下で起きていた(おそらく火山性の)
群発地震であることがわかります。

さらには、噴火開始の前日から当日にかけて、
群発地震が徐々に有感範囲を広げていく様子が
明らかになりました。

出典:火山学者による解説


つまり、宝永噴火の前兆は
「巨大地震が1回起きた」だけではなく、
「その後、富士山直下で群発地震が続き、
それが徐々に強まっていった」
という、
段階的な変化でした。


事例②:群発地震があっても「噴火しなかった」ケース——元禄関東地震後


ここが、今日最もお伝えしたいポイントです。


宝永噴火の約4年前に相模湾で起きた
元禄関東地震の後にも、富士山の地下の浅い部分に
上ってきたマグマが群発地震を起こしました。

しかし、この時は幸いに噴火に至りませんでした。


これは非常に重要な事実です。

巨大地震の後に富士山直下で群発地震が起きても、
必ずしも噴火するわけではない、という実例が、
富士山自身の過去にすでにあるのです。


研究者はこれを、こう表現しています。


富士山は、前兆が観測されたからといって
必ず噴火するわけではないという、
やっかいな面をもっています。

2000年3月に有珠山の噴火予知に成功した
北海道大学の岡田弘教授は、
「有珠山はウソをつかない山である」と言いました。

これは、有珠山で群発地震が起きた時は、
歴史上必ずと言ってよいほど噴火に至っていたからです。

ところが、
富士山は有珠山と違ってウソをつく山のようです。


「ウソをつく山」——印象的な表現ですが、要するに
「前兆らしき現象があっても、噴火するとは限らない」
というのが、火山学者自身による富士山の評価です。


事例③:噴火に至らなかったが「活動の活発化」はあったケース——2000〜2001年


直近の事例も確認しておきましょう。


富士山で一時的に火山性地震が活発化し、
山頂で有感地震を4回記録しました(最大震度3)。

やや深部での低周波地震の多発
(2000年10月~12月及び2001年4月~5月)
富士山のやや深部で、低周波地震が
一時的に多発しました。

出典:静岡県富士市「富士山の噴火史について」
https://www.city.fuji.shizuoka.jp/
1004050000/p000050.html


2000年〜2001年にも、
富士山の地下で低周波地震が一時的に増加する
現象が観測されました。

これも当時注目されましたが、
噴火には至りませんでした。


「地震→噴火」のメカニズム——なぜ連動が起きると考えられているのか


なぜ地震が火山活動に影響を与えうるのか、
物理的な仕組みも確認しておきます。


断層のずれは、地震波を発生させるだけでなく、
断層のまわりの地殻内のひずみのかかり方を
劇的に変化させます。

この歪み変化が、マグマだまりを膨張させる方向に
働いた場合、マグマだまり内では急激な減圧が
生じることになります。

すると、マグマ中に溶けていた水などの
揮発性成分が、減圧によって急激な発泡を起こす
可能性が考えられます。


こうしたケースでは、
地表を押し上げたり伸ばしたりする地殻変動を起こす、
あるいはマグマが地殻を割って昇る際に発生する
群発地震の震源が時間とともに浅くなってくるなどの
特徴があるため、十分な観測網があれば噴火の開始を
事前に予知しやすいと考えられています。


つまり、
もし本当にマグマが上昇してきている場合、
「群発地震の震源が徐々に浅くなる」
という特徴が見られるとされています。

これが、専門家が観測データを見るときの
重要な判断材料の一つです。


そして今回の山梨県の地震について、
気象庁は「観測データに特段の変化はない」
としています。


まとめ——3つのケースが教えてくれること


ここまでの事例を整理します。

①宝永噴火(1707年)
 → 巨大地震+その後の群発地震の拡大
 → 噴火(49日後)

②元禄関東地震後(1703年頃)
 → 巨大地震+群発地震 → 噴火せず

③2000〜2001年
 → 低周波地震の一時的多発 → 噴火せず

過去の事例を見る限り、
「地震が起きた」「群発地震が起きた」
という現象だけでは、
噴火するかしないかを判断できません。

噴火に至った宝永噴火のケースでは、
「群発地震が時間とともに拡大・深化していく」
という、継続的な変化が伴っていました。


SONAEAREBAから——今、私たちにできること


今回の山梨県の地震について、
気象庁は火山活動との関連を否定しています。

過去の事例を見ても、地震単発の発生だけで
噴火を判断することはできません。


でも、だからこそお伝えしたいのは
「観測を続けている専門機関の情報を、
 定期的に確認する」
という習慣です。


気象庁「富士山の火山観測データ」
(最近2か月の活動状況)
https://www.data.jma.go.jp/vois/data/obs/
kansoku/open-data.php?id=314

気象庁「富士山の火山活動解説資料」
https://www.data.jma.go.jp/vois/data/report/
monthly_v-act_doc/monthly_vact_vol.php?id=314


このシリーズで以前お伝えした通り、
富士山噴火の備えは地震・台風の備えと
多くが重なります。

水・食料・トイレ・電気の備え、
そしてN95マスク・ゴーグルといった降灰対策——
これらは「噴火するかどうか」にかかわらず、
今日から進められる備えです。


気象庁は27日未明に開いた記者会見で、
今後1週間程度は最大震度6弱程度の地震に
注意するよう呼びかけました。

揺れが強かった地域では大雨と重なり
土砂災害の危険が高まっているとして、
今後の降雨に十分注意が必要だとしています。


まず目を向けるべきは、火山活動よりも、
気象庁が明確に呼びかけている
「今後1週間の地震」と「土砂災害への警戒」です。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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