【最新情報】クマ出没を「AIが予測する」時代が来た。上智大学・NTTドコモの最前線を知る。

防災豆知識
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こんにちは!SONAEAREBAです。

クマ出没の記事は、
以前このシリーズでも取り上げました。

東京都内でも出没が続く現状、
全国で過去最多の被害
——あれから状況は止まっていません。

そして今、
防災の現場で新しい動きが起きています。

「クマがどこに出るか」
をAIが予測する時代が、もう始まっているのです。


今日は、その最前線を紹介します。


「クマ遭遇AI予測マップ」——上智大学が開発した本格的な予測モデル


上智大学深澤研究室では、
過去のクマ遭遇記録や人口分布、土地被覆、標高、
道路情報などの多様なデータを用いて、
機械学習により将来のクマ遭遇リスクを予測する
モデルを構築しました。

さらに、このモデルを基に、
さまざまな自治体におけるクマとの遭遇確率を
予測・可視化する「クマ遭遇AI予測マップ」
作成・公開しました。

出典:上智大学
「クマとの遭遇リスクをAIで予測するモデルを開発」
https://www.sophia.ac.jp/jpn/article/news/
release/250930_bear/


このモデルがどれくらい精緻なのか、
具体的な数字を見てください。


過去の出没記録、日時、土地被覆、人口分布、気象、
道路の有無、標高、食料となるブナの実の豊凶情報
など、多様な時間的・環境的・社会的要因を統合した
予測モデルを開発。

2023年度秋田県全域における日別かつ
1kmメッシュごとの出没有無を予測した結果、
Extra Treesモデルで正答率63.7%、適合率63.5%、
再現率63.6%の高精度予測を達成しました。


「1kmメッシュごと」「日別」
というのがポイントです。

「秋田県全体」ではなく
「秋田県のこの1km四方の場所で、
 今日クマに遭遇する可能性が高い」

というレベルまで絞り込めるということです。


なぜこのモデルが必要になったのか


近年、自然的変化であるブナの実の凶作や
社会的変化である中山間地域での過疎化・高齢化
によって、クマが市街地に出没し人身事故が
生じるケースが増加しています。

研究の成果は、クマの出没リスクが高い地域を
事前に把握し、警戒情報や対応策の効率的な配信に
役立つと期待されます。


特に2023年秋田県におけるクマの出没は
年間平均800件から3,900件以上に急増しました。

(出典:上智大学)


年間800件から3,900件。約5倍の急増です。

このような爆発的な増加に、
人間の経験や巡回だけで対応するのは限界があります。

そこでデータの力を借りる、
というのがこのプロジェクトの出発点です。


AIは何を「手がかり」にしているのか——意外な発見


このモデル開発で、研究チーム自身も
驚いた発見があったそうです。


「直近1か月の出没場所」よりも
「1年前の同時期の出没場所」という
特徴量の方が、予測への寄与度が大きかった。

普通に考えれば、
「昨日出た場所の方が1年前に出た場所より危ない」
と感じるかもしれませんが、分析結果は逆でした。

出典:レバテックLAB
「『クマ遭遇AI予測マップ』を開発して見えたもの」
上智大学・深澤准教授インタビュー
https://levtech.jp/media/article/focus/detail_758/


さらに興味深いのが、人口データの使われ方です。


AIは「柿の木」のデータを直接学習しているわけでは
ありませんが、いわば「高齢者の人口分布」という
代理変数から、「クマのエサとなる誘引物がある場所」
のパターンを学習していたのではないか、
と解釈しています。


つまりAIは「高齢者が多く住む地域」という
データから、間接的に
「手入れされていない柿の木や放棄された果樹が
 多い場所=クマを引き寄せやすい場所」

を学習していた可能性があるということです。

これは人間が直感的には気づきにくい、
データならではの発見です。


「土地被覆」「人口分布(特に高齢者数)」「標高」が主要因子


XAI技術の一つであるSHAP解析を行い、
過去の出没状況、土地被覆(人口構造物、水田、
竹林など)、人口分布(特に高齢者数)、
標高が主要因子であることを特定しました。

(出典:上智大学)


「高齢者数」がクマ出没の主要因子の一つというのは、
過疎化・高齢化が進む地域の現実を、
データが裏付けた結果と言えます。


全国に広がる予測マップ——秋田から全国へ


2025年10月20日更新:最新のデータを反映した
秋田県クマ遭遇予測マップを公開しました。

2025年10月24日更新:秋田県以外の自治体も加え、
「クマ遭遇AI予測マップ」としました。

(出典:上智大学)


秋田県限定だったモデルは、
今では他の自治体にも拡大しています。

このマップは、自治体だけでなく
一般の方も活用できる可能性があります。


クマ遭遇AI予測マップは、
自治体による警戒情報の効率的な発信や
巡回計画の策定、AIカメラやドローンの設置場所の
検討、ワナ設置の優先度付けなどの対策に活用できる
ほか、住民や旅行者の方には遭遇の可能性が高いエリア
を事前に把握し、安全対策に役立てていただけます。

出典:ビッグデータ・ポータル
「クマ遭遇AI予測マップの開発」
https://www.e-stat.go.jp/bigdataportal/case/334


NTTドコモも参入——通信基地局がクマを「監視」する


研究機関だけでなく、通信業界も動いています。


NTTドコモは22日、
北海道でクマの出没をリアルタイムで検知する
システムの実証実験を始めると発表した。

道内の基地局2局に人工知能(AI)を搭載した
監視カメラを設置する。

システムの有効性と精度を検証し、
将来はクマ被害に悩む自治体向けの展開を目指す。


このシステムの特徴は「既存設備の活用」にあります。


実験は22日から11月30日まで実施する予定。
既存の基地局設備と携帯通信用の通信網を
活用することで環境負荷と導入コストを抑え、
将来は広大なエリアも監視できるとしている。

画像認識AIの活用により昼夜を問わずクマを検知し、
迅速に通知できるようにすることを目指す。


「新しい監視塔を建てる」のではなく、
 もう全国に立っている携帯電話の基地局を使う。

これなら導入コストを抑えながら、
広範囲をカバーできます。

「昼夜を問わず検知」という点も重要です。

クマは夜間や早朝に活動することが多いため、
人の目だけでは見逃しがちな時間帯もAIカメラなら
継続的に監視できます。


全国に広がる「AI×クマ対策」の動き


上智大学・NTTドコモ以外にも、
民間企業による取り組みが広がっています。


FASTBEARは、
都道府県単位で散在する出没情報を
収集し、地図とタイムラインで確認できる
ダッシュボードとして提供します。

独自に開発したAIエージェントが、
自治体等の公式発表およびニュースを自動収集し、
最新情報を反映します。

自治体・報道はそれぞれ異なるフォーマットで
公表されますが、AIにより一定の形式へ整理し、
比較・参照しやすい形で提示します。

出典:株式会社Aisometry
「FASTBEAR」プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/
000000002.000175363.html


2026年は AI を使った「出没予測」や
「遭遇リスクマップ」が各地で実用化し、
自治体の対策も新たな段階へ進んでいます。

2025年9月施行の「緊急銃猟」制度や、
通信基地局のAIカメラによる検知など、
自治体のクマ対策は新たな段階へ移行しています。

出典:リサーチコーディネート株式会社
「くまウォッチ」
https://www.research-coordinate.co.jp/
post/kuma-watch-2026


クママップというサービスも、
この流れの中で進化を続けています。


クママップに掲載中の出没情報130,625件のうち、
99.7%は自治体と報道機関から自動集約されています。

残る0.3%(コミュニティ投稿)は、
写真の解析・既存データとの照合・第三者情報源・
投稿元の挙動・全体の整合性を組み合わせて
検証してから公開しています。

出典:クママップ
https://kumamap.com/ja


99.7%が自動集約というのは、
それだけ多くの自治体・報道機関のデータが、
リアルタイムで統合されるようになったということです。

これも「AI×ビッグデータ」
クマ対策を変えている一例です。


なぜ今、AI予測がこれほど必要とされているのか


ここで、なぜAIによる予測が
これほど急速に広がっているのか、背景を整理します。


環境省の公表(速報値)によれば、
令和7年度はクマによる人的被害が230人にのぼり、
犠牲者は13人とされています。

また、4〜10月の出没数は
3.6万件以上、捕獲数も9867頭で、
いずれも過去最多水準となっています。


被害が過去最多。出没数も過去最多。

このペースに対して、人間の目視・巡回・経験
だけでは追いつかなくなっています。


「今年の出没・被害件数は近年でも特に多い。
 最大の要因は個体数の増加と分布域の拡大です」
と、
森林総合研究所東北支所動物生態遺伝担当チーム長・
大西尚樹さんは説明します。

出典:ウェザーニュース
「近年、クマ被害が急増している理由」
https://weathernews.jp/news/202511/050146/


個体数も分布域も増えている以上、
出没リスクのある場所は
「今まで安全だった場所」にも広がっています。

人間の経験則が通用しにくくなっているからこそ、
データに基づく予測が必要とされているのです。


SONAEAREBAから——私たちはこの予測技術をどう使えばいいか


AI予測マップは自治体向けに開発されたものが
多いですが、一般の方にも活用できる視点があります。


① 山菜採り・登山・キャンプの計画時に確認する


クママップやAI予測マップで、行き先の出没傾向を
事前に確認する習慣をつけてください。

「経験的に大丈夫だった場所」が、
今年は危険な場所に変わっている可能性があります。


クママップ(全国クマ出没情報)
https://kumamap.com/ja


② 「高齢者の人口分布」と「出没」の関係を知っておく


上智大学の研究が示した
「高齢者数が主要因子の一つ」という発見は、
実家のある地域・親が住む地域を考える上でも
参考になります。

過疎化が進む地域ほど、
AI予測の精度に注目する価値があります。


③ 自治体の取り組みに注目する


お住まいの自治体が、AIカメラやクマ出没予測システム
を導入しているか確認してみてください。

ドコモの実証実験のように、
今後全国の自治体に展開される可能性があります。


SONAEAREBAからのメッセージ


「クマは山の問題」
——以前の記事でこの思い込みを取り上げました。

今日お伝えしたかったのは、その先の話です。


クマ対策は、人間の経験や直感だけに頼る時代から、
データとAIが手がかりを与えてくれる時代に
変わりつつあります。

1kmメッシュごとの予測。

通信基地局を使ったリアルタイム検知。

自治体の公式発表をAIが自動収集するダッシュボード。


これらはまだ実証実験・研究段階のものも多いですが、
確実に実用化へ向かっています。


防災の世界でも、緊急地震速報・
線状降水帯直前予測・南海トラフ臨時情報など、
「データに基づく早期警戒」が次々と生まれています。

クマ対策のAI予測も、その大きな流れの一部です。


技術は進化しています。

私たちにできることは、その技術を知り、
活用する習慣を持つことです。


SONAEAREBAはこれからも、
防災に関わる最新技術の動きを発信し続けます。

最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。

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