こんにちは!SONAEAREBAです。
令和8年熊本地震から8日目。
余震が続く中、熊本の被災者から
繰り返し聞こえてくる声があります。
「地鳴りが怖い」
「ゴゴゴという音がするたびにパニックになる」
「揺れより音が怖い」
地震の経験がある方なら、きっとわかると思います。
揺れる前に「ドン」「ゴォー」という音がする
——あの恐怖。
今日は、この「地鳴り」の正体を
科学的に解き明かします。
「なぜ音がするのか」
「音が聞こえたらどうすべきか」
「怖さへの対処法」まで完全解説します。
「地鳴り」とは何か——科学的な定義
地鳴りとは、地震などで地盤が振動して
鳴り響く音のことです。
地震の予兆や前兆といわれていますが、
実は地震によって発生するそのものの音なのです。
もう少し詳しく説明すると——
地震の振動が低い音として聞こえる現象です。
身体に感じないほど小さい地震でも、
音だけが聞こえることがあります。
これは、地震の震源で発生した振動のうち、
数十ヘルツ以上という周波数のものが地表に達して、
空気中を伝わってくるものです。
出典:コトバンク「地鳴り」
https://kotobank.jp/word/%E5%9C%B0%E9%B3%B4%
E3%82%8A-522378
ポイントは「音だけが聞こえることがある」
という部分です。
揺れを感じないほど小さい地震でも、
音だけが届くことがある——これが地鳴りの本質です。
地鳴りのメカニズム——なぜ「揺れる前に音がする」のか
「地震が来る前にゴゴゴという音がした」という体験、
多くの方が持っていると思います。
これはなぜ起きるのでしょうか。
P波とS波の「時間差」が生む現象
地震が発生すると、
震源から2種類の波が同時に出発します。
地震では、
初期微動P波と呼ばれる小さな揺れ(縦波)と
主要動S波と呼ばれる大きな揺れ(横波)が
同時に発生します。
P波(Primary wave・縦波)
→ 速い(秒速6〜7km)
→ 音と同じ性質を持つ
→ 数十ヘルツ以上の周波数は
空気中で「音」として聞こえる
→ これが「地鳴り」の正体
S波(Secondary wave・横波)
→ 遅い(秒速3〜4km)
→ 大きな横揺れを起こす
→ 「本揺れ」の原因
つまり「揺れる前に音がする」のではなく、
「P波(音)が先に届いて、
S波(揺れ)が後から届く」という時間差によって、
「音の後に揺れる」という体験が生まれるのです。
この原理を利用したのが緊急地震速報です。
P波を検知してS波が来る前に警報を出す
——あのシステムは、地鳴りの科学的な仕組み
そのものを活用しています。
地鳴りが聞こえたら、あと何秒で揺れが来るのか
地鳴りが聞こえた後、
だいたい数秒〜数十秒の間に地震が来ることが
多いようです。
数秒〜数十秒——これが「行動できる時間」です。
「ゴゴゴという音がした!」と感じた瞬間、
机の下に入る・頭を守る・揺れに備える
——この数秒の行動が命を守ります。
なぜ場所によって「聞こえる・聞こえない」があるのか
地鳴りには「聞こえやすい場所」と
「聞こえにくい場所」があります。
地下構造や地形によって、地鳴りの聞こえやすい所と、
まったく聞こえない所とがあります。
筑波山(茨城県)付近は、
普通は地下に隠れている基盤岩が地上に顔を出している
ために、よく地鳴りが聞こえることで有名です。
また、この帯域の周波数の振動は
地下での減衰が大きいため、
震源の浅い地震しか地鳴りを伴わないとも
言われています。
今回の令和8年熊本地震の震源の深さは約10km
——これは「浅い地震」に分類されます。
だからこそ、熊本の被災者が地鳴りを
強く感じているのです。
「建物のきしみ」も「地鳴り」に聞こえる
もう一つ重要な事実があります。
大地震のときには各地で地鳴りを感じたという
報告が多いが、これは建物や構造物がきしんだり、
瓦や家具が揺れたりする音であることが多い。
「地鳴り」と感じた音のすべてが
「地下から来る音」ではありません。
P波が到達したときに、
建物・家具・窓・屋根などが振動して
「ギシギシ」「ドン」という音を出すことがあります。
特に地震で被害を受けた建物は、
もともとの構造的な強度が弱まっているため、
小さな揺れでも大きな音がしやすくなります。
これが熊本の被災者が感じる
「余震のたびに地鳴りが怖い」
という体験の一因でもあります。
過去の大地震と「地鳴り」——歴史の記録
地鳴りは、過去の大地震でも記録されています。
1872年の浜田地震の際、
島根県東部では本震の発生4〜5日前から
西方に鳴動が聞こえ、地震を感じた。
出典:東北大学「地震の前兆の可能性がある自然現象」
また、東日本大震災(2011年)では多くの被災者が
「轟音」「地鳴り」を感じたと証言しています。
ただし、科学的には「地鳴りが大地震の前兆である」
と断定することは、現時点ではできていません。
地鳴りが聞こえた後に大きな地震が来ることもあれば、
来ないこともある——これが正直な現状です。
「地鳴りが怖い」——被災者の心理と対処法
ここからが、今日の記事で最も伝えたいことです。
「地鳴りが怖い」という感覚は、
科学的に説明できる、正当な恐怖です。
「音が聞こえる→揺れが来るかもしれない
→体が緊張する」
これは本能的な防衛反応であり、弱さではありません。
なぜ余震が続くと「地鳴り恐怖」が強まるのか
令和8年熊本地震の発生から8日間、
100回以上の余震が続いています。
「音が聞こえるたびにパニックになる」
という体験には、心理学的な理由があります。
「恐怖条件付け」——怖い出来事(地震)と、
それと同時に起きたこと(地鳴り)が結びつき、
「地鳴りを聞いただけで恐怖反応が起きる」
という状態になることがあります。
これはPTSD(心的外傷後ストレス障害)
の一症状でもあります。
「地鳴りが怖くて眠れない」
「音のたびに動悸がする」
——これは珍しいことではなく、
震度7という極限の体験をした後の、
自然な心の反応です。
「地鳴りが聞こえた」ときの正しい行動
地鳴りを感じたとき、
最も重要なのは「知識に基づいた冷静な行動」です。
① まず「揺れに備える姿勢をとる」
地鳴りはS波(本揺れ)が来る数秒前のサインです。
机の下・頭を守れる場所に移動してください。
② 「音がしても揺れない」ことも多い
地鳴りを感じたからといって、
必ず大きな揺れが来るわけではありません。
「また音がした→でも動ける」
という体験を積み重ねることで、
過度な恐怖が和らいでいきます。
③ 家族と声を掛け合う
「今、地鳴りがした」「気をつけよう」——
一人で抱え込まず、声に出すことで恐怖が分散されます。
④ 気象庁の地震情報をリアルタイムで確認する
音がするたびに不安になるなら、
スマホで気象庁の最新地震情報を確認する
習慣をつけましょう。
「M2.4の小さな地震だった」とわかるだけで、
恐怖が落ち着くことがあります。
気象庁「地震情報(最新)」
https://www.jma.go.jp/bosai/map.html
⑤ 眠れない・動悸が続く場合は専門家に相談する
地鳴りへの恐怖が眠れない・日常生活に
支障をきたすレベルになっている場合は、
避難所の保健師・医療スタッフに相談してください。
被災後の心のケアは、
身体のケアと同じくらい重要です。
地鳴りと「地震以外の原因」——混同しないために
最後に、「地鳴りに似た音」の
他の原因も確認しておきます。
地震以外で地鳴りに似た音がする原因:
・石灰岩地域の地下空洞の陥没
・鉱山・地下資源の採掘活動
・爆破工事・大規模建設工事
・遠くを走るトラック・列車の振動
・飛行機の低空飛行・ソニックブーム
・火山活動(噴気・爆発的噴火の前触れ)
熊本では今、余震が続いているため、
「地鳴りのような音=余震」
と判断しやすい状況ですが、
すべての音が地震によるものとは限りません。
気象庁の地震情報と照らし合わせることで、
「地震だったかどうか」を確認できます。
SONAEAREBAからのメッセージ
「地鳴りが怖い」——
熊本の被災者が語るこの言葉は、
最も正直な恐怖の表現だと思います。
その音の正体は、P波が空気を伝わってくる音。
揺れより数秒早く届く、地球の声です。
「なぜ怖いのか」を知ることで、
少し恐怖が和らぐことがあります。
「これはP波の音だ」「S波が来るまで数秒ある」——
そう理解することが、パニックを防ぐ一助になります。
熊本の被災者の方へ。
地鳴りへの恐怖は、あなたが弱いのではありません。
震度7という極限の体験をした後の、正常な反応です。
そして全国の読者の方へ。
「地鳴りが聞こえた→数秒以内に揺れに備える」
この知識を、今日体に染み込ませてください。
SONAEAREBAはこれからも
「知る防災」を発信し続けます。
最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。

































