「M8に近い地震がいつ起きてもおかしくない」。東大が解明した「プレート境界の固着」と三陸沖の割れ残りが示す現実。

自然災害を考える
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こんにちは!SONAEAREBAです。

今週、地震科学の世界で重要な研究成果と
専門家コメントが相次いで発表されました。


6月25日:青森・岩手M6.9・震度6強。
筑波大の八木勇治教授が
「M8に近い地震がいつ起きてもおかしくない状況だ」
と発言。

6月26日:東京大学・海上保安庁などが
「南海トラフのプレート境界固着状態の地域差」
を発表。
11年分の海底観測データで
「エネルギーが蓄積する場所」の可視化に成功。


今日は、この2つのニュースを
組み合わせて解説します。

「プレート境界」という地下の世界で、
今何が起きているのか。


「M8に近い地震がいつ起きてもおかしくない」——専門家の言葉


6月25日の青森・岩手M6.9について、
筑波大の八木勇治教授(地震学)は
重大な発言をしました。


三陸沖では1994年に三陸はるか沖地震(M7.6)が起きて
以降、しばらく活発な地震活動のないエリアがあり、
プレート同士が強くくっついた場所「固着域」
ひずみがたまったまま割れ残っていると考えられます。

八木教授は今回この固着域はほぼ動かず、
割れ残りは依然存続しているとみており
「M8に近い地震がいつ起きてもおかしくない状況だ。
巨大地震の発生を前提に対策を立てておくことが重要」

と指摘しました。

(出典:yahooニュース・毎日新聞
「プレート境界で地震、『ドップラー効果』で
 揺れ増幅か 青森6強」
https://news.yahoo.co.jp/articles/
cefbac5399a93aca1dab0aff8b196de18fef19db


「M8に近い地震がいつ起きてもおかしくない」。

これは研究者が「起きるかもしれない」という程度で
使う表現ではありません。

専門家が公式の場で断言に近い形で使った言葉です。


さらに東北大の吉田圭佑准教授は
「揺れが大きかった理由」についても踏み込んだ
指摘をしています。


吉田准教授は揺れが大きかった理由について、
震源が陸に近かったことに加え
「ドップラー効果によって増幅された可能性がある」
と指摘します。

救急車の進行方向とサイレンの音の関係のように、
地震波と断層の破壊の方向がそろうと地震の揺れが
増幅されることが知られており
「数倍以上の揺れになる」といいます。


「ドップラー効果で数倍以上の揺れ」
——これは非常に重要な知見です。

M6.9という規模以上に揺れが大きかった理由が、
ここにあります。


つまり、地震の「怖さ」は
マグニチュードだけで決まらない。

断層の破壊方向と地震波の伝わる方向が
一致したとき、揺れは数倍に増幅される
——これが今回の震度6強という
「数字以上の破壊力」の一因です。


「固着域」とは何か——プレート境界で何が起きているのか


ここで「固着域」という概念を整理しましょう。


南海トラフは、
静岡県沖から九州の日向灘沖にかけて延びる
海底の巨大な溝で、フィリピン海プレートが
日本列島側のプレートの下へ沈み込んでいます。

プレート同士が強く固着すると境界面に
ひずみが蓄積され、限界に達した時に
巨大地震が発生すると考えられています。

出典:サイエンスポータル
「南海トラフ沿いのプレート境界の固着状態に地域差」
https://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/
20260626_n01/


わかりやすく言うと——

プレートが動こうとしている。
でも、固着している部分は動けない。

だから、
その固着部分にエネルギーが蓄積し続ける。

蓄積が限界に達したとき、
一気に解放される——それが「巨大地震」です


固着が強い場所=ひずみが大きく蓄積している場所
=次の巨大地震のエネルギーが集中している場所。

これが「固着域」の意味です。


東大・海上保安庁の最新研究——「固着状態に地域差がある」


そして6月26日、これに直接関係する
画期的な研究成果が発表されました。


南海トラフ巨大地震の想定震源域内にある
プレート境界の固着状態について、
「長期間ほぼ変化しない領域」
「時間とともに変化する領域」が存在することを、
東京大学生産技術研究所などの研究グループが
明らかにしました。

11年間におよぶ海底地殻変動の
観測データの解析によって分かりました。


研究グループは
東京大学生産技術研究所の横田裕輔准教授、
海上保安庁海洋情報部の渡邉俊一主任海洋防災調査官ら
で構成されました。

海上保安庁が運用している海底地殻変動観測網
「SGO-A」の11年分のデータを精査した結果です。


「変化しない領域」と「変化する領域」の違い


今回の研究で明らかになった固着状態の地域差は、
スロースリップ現象とも関連している可能性があり、
想定震源域全体が一様にひずみを蓄積しているわけでは
ないことを示唆しています。

そして、確認された安定固着域は、
将来の巨大地震で大きなエネルギーを放出する領域に
なるとみられます。


整理すると:

「長期間ほぼ変化しない固着域」
 → ひずみが蓄積し続けている場所
 → 次の巨大地震で大きなエネルギーが
   解放される候補地

「時間とともに変化する領域」
 → スロースリップ(ゆっくりすべり)
     が起きている場所
 → 少しずつエネルギーを解放しながら動いている

つまり、
「一様にひずみが蓄積しているわけではない」——
場所によって危険度が違う、ということが
11年間のデータで初めて可視化されました。


これは「どこで大きなエネルギーが解放されるか」
を予測する精度を高める、画期的な発見です。


11年間のデータが示す「南海トラフの今」


東大の横田裕輔准教授らは海上保安庁が運用している
海底地殻変動観測網「SGO-A」の11年分のデータを
精査し、固着状態の時間変動のパターンを
把握することに成功しました。

巨大地震のエネルギーをためこんでいる場所が
把握できるようになり、将来の地震の規模や
性質の分析や防災対策への活用が期待できます。


「エネルギーをためこんでいる場所が
 把握できるようになった」

——これが今回の研究の最大の成果です。

従来は「南海トラフ全体がひずみを蓄積している」
という大まかな理解でした。

今後は「この場所は特に危険」という精度の高い
把握が可能になります。


三陸沖と南海トラフ——「固着」という共通点


ここで、
三陸沖(6月25日の地震)と南海トラフ(東大の研究)
を結ぶ共通の概念が見えてきます。

「固着域のひずみ蓄積」です。


三陸沖では——

1994年の三陸はるか沖地震以降、
固着域のひずみが蓄積したまま
「割れ残り」として存続している。

それが今も続いており
「M8に近い地震がいつ起きてもおかしくない状況」
(八木教授)に至っている。


南海トラフでは——

東大・海保の研究で、
「長期間変化しない固着域」が特定され、そこが
「次の巨大地震で大きなエネルギーを放出する領域」
とみられている。


どちらも「固着域にひずみが蓄積し続けている」
という構造は同じです。

違うのは「いつ解放されるか」の切迫度と、
「解放されたときの規模」だけです。


「地震の揺れ予測」への新しいアプローチ


さらに今回の東大研究は、
将来の地震予測にも新しい道を開きます。


南海トラフ地震は静岡県沖の駿河湾から
宮崎県沖の日向灘沖にかけてのプレート境界を
震源域とする地震で、約100〜150年に1度の周期
大規模な地震を繰り返しています


約100〜150年に1度。

前回の南海トラフ地震(昭和南海地震)は1946年。

現在は2026年——前回から80年が経過しています。


「長期間変化しない固着域」
「時間とともに変化する領域」の分布が
11年間のデータで明らかになったことで、
「南海トラフ地震が起きたとき、
どのエリアがどれほどの規模で揺れるか」

という予測の精度向上が期待されます。


このシリーズで積み上げてきた知識との連携


このシリーズを読んでくださっている方は、
今日の記事を読んで多くの「あ、あの話とつながった」
という発見があったと思います。


5月:「スロースリップが加速している」
 → 今日の「変化する領域=スロースリップ関連」
   と一致

5月:「ゆっくりすべりが大地震の前兆になる可能性」
 → 東大研究の「スロースリップと固着の関係」
     と一致

6月:「地震調査委『切迫度が徐々に高まっている』」
 → 三陸の固着域・割れ残りの「切迫度」と一致

6月25日:青森・岩手M6.9
 → 「固着域はほぼ動かず、割れ残りは存続」
      という評価に一致

これらは一本の線でつながっています。

プレート境界の固着——ひずみの蓄積——
スロースリップ——切迫度の上昇——そして大地震。

このサイクルを、複数の最新研究が
異なる角度から照らし始めています。


私たちができること——「研究が教えてくれることを行動に変える」


「固着状態が可視化された」
「M8がいつ起きてもおかしくない」

という情報を知っても、
私たちが今すぐ地下に手を入れることはできません。

でも、「いつ来てもいい状態を作る」ことは
今日からできます。


① ハザードマップで「自分の地域の津波リスク」を確認する


三陸沖・南海トラフどちらの大地震も、
巨大な津波を伴います。


国土交通省 ハザードマップポータルサイト
https://disaportal.gsi.go.jp/


② 在宅避難の備えを今日点検する


「M8がいつ起きてもおかしくない」という
現実を前に、備えの状態を今日確認してください。


・水7日分以上ありますか?

・携帯トイレ家族分×35回分ありますか?

・ポータブル電源・ランタン・ラジオは
揃っていますか?


在宅避難シリーズ総まとめ⇩


③ 「揺れが数倍に増幅される」ことを前提に家具を固定する


今回の「ドップラー効果で数倍の揺れ」という知見は、
防災の基本を改めて突きつけます。

M6.9でも「数倍」の揺れになりうるなら、
家具の固定は「過剰」ではなく「必須」です。


SONAEAREBAからのメッセージ


今週、2つの重要な発表がありました。

「M8に近い地震がいつ起きてもおかしくない」
(三陸沖・専門家)

「固着域が可視化された
——そこが次の大地震のエネルギー源」
(南海トラフ・東大研究)


これは日本列島の東(三陸沖)と西(南海トラフ)で、
同時に「次の大地震の輪郭」が見えてきた
ということです。


「いつ来るかは分からない」
——これは変わりません。

でも「来る可能性がある場所」
「来たときのエネルギー規模」が、
研究によってより明確になってきています。


科学は着実に進歩しています。

私たちの備えも、
それに追いつかなければなりません。


今日、1つだけ行動してください。

ハザードマップを確認する。家具を1つ固定する。
水を1本余分に買う。

それだけで、確実に備えが一歩前進します。


SONAEAREBAはこれからも
「知る防災」を発信し続けます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



「空間にマスクする感覚」地方自治体避難所開設用パーテーション