こんにちは!SONAEAREBAです。
2026年8月23日から26日にかけて、
日本国内外で「深発地震」と呼ばれる地震が、
立て続けに観測されました。
「最近、深発地震が増えている気がする」
——そんな声を見かけました。
今日は、この感覚が正しいのか、
そして深発地震が「大地震の前兆」になりうるのかを、
実際のデータと過去の研究をもとに検証します。
まず「深発地震」とは何か——おさらい
深発地震とは、
一般に深さ100km以上の深いところで
発生する地震のことです。
深さ60kmまでの地震を「浅発地震」、
60〜200kmを「稍深発地震」、
200km以深を「深発地震」と呼びます。
出典:Wikipedia「深発地震」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B7%
B1%E7%99%BA%E5%9C%B0%E9%9C%87
深発地震は、海に沈み込んだプレート(スラブ)
の内部で発生します。
震源が深いため、震源から遠く離れた場所が
強く揺れる「異常震域」という現象が起きることも、
このシリーズで6月に解説した通りです。
日本ではマグニチュード6以上の深発地震は、
年間に4〜5回程度発生しています。
つまり、深発地震そのものは
「珍しい現象」ではありません。
ただし、2026年8月下旬は、
その発生の「集中度」が、
いつもと違って見えました。
8月下旬、実際に何が起きていたか
自動で地震情報を配信する専門アカウント等の
報告をもとに、この期間に確認された
主な深発地震・やや深発地震を整理します
震源要素は今後の精査で修正される場合があります。
最終的な数値は必ず気象庁の公式発表でご確認ください
8月23日:茨城県南部 M5.9 深さ約68km(やや深発)
8月24日:浦河沖 M6.0
8月25日:富山・岐阜県境 M4.3 深さ279.7km
8月25日:岐阜県北部 M4.4 深さ328.5km
8月25日:和歌山県北東部 M4.3 深さ330.7km
8月26日:東海地方南方はるか沖 M4.4 深さ373.7km
さらに、日本国外でも
同時期に深発地震が確認されています。
トンガ付近:M5.5クラスの深発地震
フィジー諸島:M5.5 深さ523.8km
台湾:M5.5 深さ130km
気象庁「地震情報」(最新の公式データ)
https://www.jma.go.jp/bosai/map.html#8/33.795/
132.545/&elem=int&contents=earthquake_map
わずか4日間で、日本国内だけでも複数の県境で
200〜370km級の深い地震が観測されました。
当時「最近多い」と感じた方の感覚は、
この点では正しかったと言えます。
なぜ「深発地震」は起きるのか——最新の科学
深発地震のメカニズムについて、
興味深い最新研究があります。
深発地震にプレート内部の水移動が多く影響している
ことが、岡山大学などの研究で示されています。
出典:TBS ニュース
【深発地震の発生メカニズム】
プレート内の「見えない水の流れ」
が深発地震とプレート大変形を
制御していることを発見
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2850002
沈み込んだプレート(スラブ)には、
海底で吸収された水分が含水鉱物として
閉じ込められています。
この水が、地下の高温高圧環境で「脱水」する際に、
周囲の岩盤の強度を下げ、深い場所でも地震
(脆性破壊)を引き起こすと考えられています。
九州下に沈み込むフィリピン海プレート内の
地震活動について、深さ約100km以浅はスラブ地殻内、
それ以深はスラブマントル内で発生しているという
モデルが提唱されています。
出典:東京科学大学 中島研究室「スラブ内地震」
https://www.eps.sci.titech.ac.jp/lab/nakajima/
research/slab/
つまり深発地震は、地下深くで「水」が引き起こす、
プレートそのものの化学的な変化に起因する現象
だと考えられています。
深発地震は「大地震の前兆」になりうるのか——過去の実例
ここが、今日最も重要な問いです。
1952年と2003年の地震では、
M8クラスの本震の発生に先立って、
プレートのもぐり込み先を震源とする
深発地震が増加していました。
これは、1952年・2003年の十勝沖地震
(いずれもM8クラス)の直前に、
実際に確認された現象です。
さらに近年の研究では、この関係をより
精密に裏付けるデータも出てきています。
ゆっくりすべり(スロースリップ)発生の
約1ヶ月半〜1ヶ月前には、
地震活動を表す指標のb値の急上昇、
地震発生数の急上昇という、
スロースリップとスラブ内地震(深発地震を含む)
の連動が確認されています。
出典:国際地震工学センター 主任研究員・北佐枝子氏
「スラブ内地震、海溝型巨大地震とスロー地震」
https://www.kenken.go.jp/japanese/research/
lecture/r03/pdf/T04_Kita.pdf
このシリーズで繰り返しお伝えしてきた
「スロースリップ」——三陸沖や南海トラフ周辺で
観測されてきたあの現象と、深発地震(スラブ内地震)
は、地下で密接につながっている可能性があるのです。
では、これは「危険な兆候」だったのか——冷静な検証
ここで、科学的に慎重であるべき点をお伝えします。
過去に前兆とされた1952年・2003年の事例は、いずれも
「特定の一つの震源域(プレートの沈み込み先)」に、
深発地震が集中していたケースでした。
一方、2026年8月下旬に確認された深発地震は——
岐阜・富山県境、和歌山県北東部、東海はるか沖、
そしてトンガ、フィジー、台湾
——と、日本国内だけでなく、
世界各地のバラバラなプレート沈み込み帯で、
それぞれ独立して発生していました。
これは、「一つの巨大地震に向けたエネルギーの集中」
というよりも、地球全体で常に発生している
深発地震活動が、たまたま数日間に重なって観測された
可能性を示しています。
このシリーズで8月に検証した「台風と地震の関係」
のときと同じ姿勢で、正直にお伝えします。
「深発地震が増えた」という事実はありました。
でも「だから南海トラフや首都直下が近い」と
結論づける科学的根拠は、現時点ではありません。
「異常震域」にも注意——揺れが遠くまで届く特性
深発地震のもう一つの特性として、
このシリーズで6月に解説した「異常震域」があります。
震源から遠く離れた場所が強く揺れることがあるため、
「震源地から遠いから大丈夫」という思い込みは
通用しません。
深発地震のニュースを見たときは、震源地だけでなく
自分の住む地域の震度情報も必ず確認してください。
気象庁「地震情報」
https://www.jma.go.jp/bosai/map.html
今、私たちができること
① 公式情報を継続的に確認する
SNS上の速報アカウントは、
地震の発生をいち早く知る上で有用ですが、
最終的な震源の深さ・規模などは、
必ず気象庁の公式発表で確認する
習慣をつけてください。
気象庁「地震情報」
https://www.jma.go.jp/bosai/map.html
② 「深発地震=即・巨大地震」という短絡的な結びつけをしない
このシリーズで繰り返しお伝えしてきた通り、
噂や不安に振り回されず、
科学的な事実に基づいて行動することが、
防災リテラシーの基本です。
③ それでも、日頃の備えは今日から続ける
深発地震の増加が、直接的な前兆であるという証拠は、
少なくとも今回の事例では確認できませんでした。
でも、南海トラフ地震・首都直下地震は、
このシリーズで繰り返しお伝えしてきた通り、
いつ来てもおかしくない確率で存在しています。
「今回は前兆ではなさそうだ」ということと、
「備えなくていい」ということは、全く別の話です。
SONAEAREBAからのメッセージ
2026年8月下旬、
日本国内外で深発地震が相次ぎました。
茨城、岐阜、富山、和歌山、東海はるか沖、
そして海外ではトンガ、フィジー、台湾。
「最近、深発地震が多い」と感じた方の感覚は、
データの上でも裏付けられていました。
過去には、深発地震の増加が
巨大地震の前兆だった事例もあります。
でもそれは「一つの震源域への集中」が条件でした。
今回は、世界各地に散らばった、
それぞれ独立した現象である可能性が高いです。
科学は、
「わかっていること」と「わかっていないこと」
を、正直に区別することを教えてくれます。
今回は、断定できることも、断定できないことも、
両方ありました。
不安なときこそ、公式データを確認する習慣を。
そして、前兆であってもなくても、
日頃の備えは、今日も続けてください。
SONAEAREBAはこれからも
「知る防災」を発信し続けます。
最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。





















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