こんにちは!SONAEAREBAです。
「日本で一番危ない活断層は、
どこか知っていますか?」
この問いに、即答できる方は、
決して多くありません。
そしてこの「知らない」という現実こそが、
今日お伝えしたい、防災における最大の課題です。
今日は、このシリーズが4月から積み上げてきた
データをもとに、「日本一危ない断層」の正体と、
なぜその情報が十分に知られていないのかを、
総まとめします。
「日本一危ない断層」——その正体は福岡にあった
まず、答えからお伝えします。
宮下室長
出典:RKB毎日放送「日本一危ない“ねじれた断層”が九州にあった
「西方沖地震によって、プラスアルファで地震を
起こしやすくなったと考えた方がいいですね。
地震の切迫性と大都市部にあることから
“一番危険な断層”ではないでしょうか」
警固断層帯で30年以内に
地震が起きる確率は、0.3〜6%。
政府はマグニチュード8の巨大地震につながる
おそれのある富士山河口断層帯などと同じ
「Sランク:発生確率高い」に位置づけている。
政府は地震発生確率『Sランク』に」
福岡県の「警固断層帯」。
このシリーズで6月に詳しく解説した断層です。
2005年の福岡県西方沖地震によって
断層に「ねじれ」が生じ、危険度がさらに増した
可能性があると指摘されています。
もし、この断層が動いたら、どうなるのか。
福岡県は眠ったままの“南半分”が目覚めた際の
被害をシミュレーションしている。
福岡市を中心に計32,988棟が全壊または半壊。
建物の下敷きになるなどして1,183人が
死亡し22,508人が負傷する。
ライフラインも上下水道の3,643か所、
道路275か所、鉄道346か所が損壊する。
(出典:RKB毎日放送)
福岡市という大都市の直下で、
これだけの被害が想定されています。
でも「日本一危ない」という表現には、重要な但し書きがある
ここで、
正確にお伝えしなければならないことがあります。
ほかの活断層と比べ「警固断層帯」は比較的よく
研究され、その危険性が広く知られている分、
備えることはできる。
一方で、全国各地には調査が進んでおらず、
地震の発生確率や活動間隔が「不明」とされる
断層帯が数多く存在する。
警固断層帯が“日本一危ない断層”とされているのは、
あくまでも調査が進んでいる断層の中での話しだ。
(出典:RKB毎日放送)
これは非常に重要な指摘です。
「日本一危ない」というのは、
「調べた中で一番」という意味であって、
「調べていない断層の中に、
もっと危ないものがないとは言い切れない」
ということです。
「知らない」ことが、なぜこれほど危険なのか
このシリーズが4月から追いかけてきた、
日本各地のSランク断層を思い出してください。
6月:警固断層帯(福岡)
——「日本一危ない」と報じられた断層
7月:日奈久断層帯(熊本)
——令和8年熊本地震で実際に動いた
8月:六甲・淡路島断層帯(阪神)
——新たにSランクへ格上げ
8月:宇美断層(福岡)
——避難者最大約23万2,000人と想定
8月:近畿三角帯(大阪・神戸・京都)
——30年以内50〜60%と初公表
全国に32か所存在するSランク活断層——
その多くが、警固断層帯ほど広く知られていません。
そして、このシリーズが繰り返しお伝えしてきた、
最も重要な事実があります。
活断層で起きる地震は、
発生間隔が数千年程度と長いため、30年程度の間の
地震発生確率値は大きな値とはなりません。
例えば、平成7年(1995年)
兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)の発生直前の
確率値を求めてみると0.02%〜8%、
平成28年(2016年)熊本地震の場合は
ほぼ0%〜0.9%でした。
(出典:地震調査研究推進本部「長期評価結果一覧」)
阪神淡路大震災も、2016年の熊本地震も、
そして令和8年熊本地震も——
発生前の確率は、いずれも「低い」数字でした。
「日本一危ない」と呼ばれる断層ですら、
確率だけを見れば「0.3〜6%」です。
もしこの数字だけを見て
「まだ大丈夫」と判断してしまったら——
それこそが、防災の「周知」における、
最大の落とし穴です。
令和8年熊本地震が、あらためて突きつけたこと
このシリーズで7月28日に発生した
令和8年熊本地震について、
繰り返しお伝えしてきました。
震源となった日奈久断層帯は、
地震調査研究推進本部の2026年1月時点での
長期評価によると、今後30年以内に
M7.5程度の地震が発生する可能性について
最高ランクの「Sランク」と評価されていました。
(出典:令和8年熊本地震 Wikipedia)
「Sランク」と評価されていた断層が、
実際に動きました。
これは「評価が正しかった」ことを意味すると同時に、
「まだSランクの断層が全国に多数存在する」
という現実を、あらためて突きつけています。
なぜ、私たちは「知らない」のか——3つの理由
これだけ重要な情報が、
なぜ十分に知られていないのでしょうか。
理由を整理します。
理由①「確率という数字」が、直感的に理解しにくい
地震発生確率が
一般・自治体の方々には分かりにくいこと、
または、低く捉えられるおそれがあることから、
活断層のリスクを正しく理解していただき、
適切な防災・減災行動につながるように、
長期評価の広報資料に確率に基づくランク分けを
導入しています。
(出典:地震調査研究推進本部「長期評価結果一覧」)
政府自身が「確率という数字は誤解を招きやすい」
と認め、「Sランク・Aランク」という表現に変えた
経緯があります。
でも、それでもなお、「Sランク」という言葉の重みが、
十分に伝わっていない現実があります。
理由②「自分の地域の断層」を、意識する機会が少ない
活断層は過去に繰り返し活動し、
今後も再び活動すると考えられる断層であり、
たとえZランクと評価された活断層でも、
活断層が存在していること自体、
当該地域で大きな地震が発生する
可能性を示すものであることから、
活断層であることに留意する必要があります。
(出典:同上)
日常生活の中で、
「自分の家の近くに、どんな断層があるか」
を意識する機会は、ほとんどありません。
このシリーズで紹介してきた
「近畿三角帯」「宇美断層」「六甲・淡路島断層帯」——
これらの名前を、今日初めて聞いた方も多いはずです。
理由③「活断層がない場所は安全」という誤解
一方で活断層が無いところに住んでいる方は
安心ということではありません。
活断層は過去に繰り返し発生した地震の痕跡から
特定されていますが、まだ見つかっていない活断層も
多数存在すると考えられています。
出典:気象庁大阪管区気象台
「内陸地震に備える」地震一口メモ No.198
日本の周辺には約2,000もの活断層があり、
それ以外にもまだ見つかっていない活断層が
多数あると言われています。
出典:気象庁「活断層の地震に備える -関東地方版-」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/
katsudansou/katsudansou_kanto.pdf
活断層が「見つかっていない」だけで、
実際には存在している可能性がある——
これが、「自分の地域は関係ない」という思い込みの、
最大の落とし穴です。
関東にも、実は「知られていない」高い確率がある
最後に、このシリーズでまだ詳しく扱っていない、
重要な事実をお伝えします。
関東地方一都六県にまたがって広がる関東平野は
厚い堆積物に覆われているため、
地下に活断層が存在していても見つかっていない
可能性があります。
地震本部では、個々の断層だけでなく、
地域単位の地震危険度の評価(地域評価)も
行っています。
関東地域で、今後30年以内にいずれかの活断層で
M6.8以上の地震が発生する確率は50-60%です。
出典:気象庁
「活断層の地震に備える -関東地方版-」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/
katsudansou/index.html
関東地域全体で、
30年以内にM6.8以上の確率が50〜60%。
このシリーズで9月3日にお伝えした
「近畿三角帯(40〜60%)」と、ほぼ同水準です。
でも、この数字を知っている関東在住の方は、
決して多くないはずです。
さらに、見過ごせない指摘もあります。
東北地方や中部地方の活断層で
地震が発生した場合であっても、
関東地方で強い揺れに見舞われる可能性もあります。
(出典:同上)
「自分の地域の断層だけ知っていればいい」
わけではない——
これも、正確に理解しておくべき事実です。
今日、あなたにできること
① 自分の地域の断層を、今日初めて調べてみる
「日本一危ない」と呼ばれた警固断層帯だけでなく、
あなたの地域にも、名前も知らない活断層が
存在するかもしれません。
産総研「活断層データベース」
(全国の活断層を検索できます)
https://gbank.gsj.jp/activefault/
政府の地震ハザードステーション(J-SHIS)
https://www.j-shis.bosai.go.jp/
② 「確率が低い」を「安全」と読み替えない
このシリーズが繰り返し伝えてきた通り、
阪神淡路大震災も、熊本地震も、
発生前の確率は低い数字でした。
「0.3〜6%」という「日本一危ない」断層の数字を
基準に、他の断層の確率を見てみてください。
③ 「活断層がない=安全」と思わない
活断層が見つかっていないだけで、
存在している可能性は否定できません。
国土交通省 ハザードマップポータルサイト
https://disaportal.gsi.go.jp/
④ 在宅避難の備えを、地域を問わず進める
「自分の地域は大丈夫」という前提に立たず、
日本全国どこでも通用する備えを整えてください。
SONAEAREBAからのメッセージ
「日本で一番危ない活断層は、どこか知っていますか?」
答えは、福岡県の警固断層帯。
30年以内の発生確率は0.3〜6%。
でも、
これは「調べた中で一番」という意味であって、
「調べていない断層の中に、
もっと危険なものがないとは言い切れない」
という但し書きがつきます。
このシリーズが4月から積み上げてきた
Sランク断層——
警固断層帯、日奈久断層帯、六甲・淡路島断層帯、
宇美断層、近畿三角帯。
そして、令和8年熊本地震という現実。
「知らない」ことは、
恥ずかしいことではありません。
でも「知ろうとしない」ことは、
命に関わる選択になりえます。
今日、あなたの地域の活断層を、
初めて調べてみてください。
その5分が、
いざというときのあなたと家族の命を、
確実に守ります。
SONAEAREBAはこれからも
「知る防災」を発信し続けます。
最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。





















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