こんにちは!SONAEAREBAです。
「AIがこんなに発達しているのだから、
台風の進路くらい正確に分かるのでは」
天気予報アプリを見ながら、
そう感じたことはありませんか。
実は今まさに、
そのモヤモヤを体現しているのが
台風26号「スリゲ」です。
台風26号は9月24日15時55分現在、
フィリピンの東を時速20kmで西進しており、
中心気圧は1000hPa、
最大風速は20メートルです。
出典:ウェザーニュース
「台風26号(スリゲ) 沖縄に強い勢力で接近
来週は本州に影響か」
https://weathernews.jp/news/202609/240181/
このあと26日には、
沖縄の南で「強い」勢力に発達する見込みですが、
その先の進路については、
台湾方面へ向かうシナリオと、
日本の南へ北上し本州へ影響する
シナリオの両方が計算上あり得るとされています。
現時点では、
日本の南へ向かう計算結果の方が
優勢とのことですが、まだ確定はしていません。
(出典:同上)
進路が固まらないまま、
すでに接近まで日数が迫っている状況です。
「予報円」もまだ大きく、はっきりしません。
今日は、この“予測むずかしさ”の
正体について、じっくり解説していきます。
そもそも「予報円」とは何なのか、おさらいします
予報円は、
台風の中心が70%の確率で、
その円の中に入るであろう範囲を示したものです。
出典:気象庁
「台風に関する各種資料|台風の予報の見方」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/
typhoon/7-1.html
気象庁の説明によると、
発表時刻から先の時間になるほど、
予報円は大きくなっていきます。
台風の強さの予報は
進むコースによって大きく変わるため、
進路の不確実性がそのまま強さの不確実性にも
つながってしまいます。
つまり予報円の大きさは、
「まだ何も分かっていない」のではなく、
「進路によって結果が大きく変わり得る」ことを、
正直に示している指標だと言えます。
なぜAIや高性能コンピューターがあっても、限界があるのか
ここからが、今日の本題です。
台風の進路予測は、
スーパーコンピューターが大気の状態を
計算することで成り立っています。
計算のスタート地点になるのが、
「今この瞬間の大気の状態」を表す観測データ、
いわゆる「初期値」です。
ところがこの初期値には、
観測地点の間隔や機器の精度による、
ごくわずかな誤差がどうしても含まれます。
問題は、
この「ごくわずかな誤差」が時間の経過とともに
どんどん拡大していくという性質です。
大気の動きは、
ほんの小さな違いが
数日後にはまったく違う結果を
生み出してしまう、
きわめて敏感なシステムだからです。
そのため予測日数が先になればなるほど、
実際の大気の状態とコンピューターが
計算した状態のズレが大きくなり、
進路予測の確からしさはどうしても下がっていきます。
これはAIの性能が低いから起きているのではなく、
大気という現象そのものが持っている、
根本的な性質なのです。
その不確実性を、逆手に取る「アンサンブル予報」
この限界に対して、
気象機関がとっているアプローチが
「アンサンブル予報」です。
初期値をほんの少しずつ意図的に変えた
複数のシミュレーションを同時に走らせ、
その結果を統計的にまとめることで、
「どれくらいの幅で結果がばらつくか」を
確率として示す手法です。
気象庁だけでなく、
米軍JTWCやヨーロッパのECMWFなど、
各国の気象機関はそれぞれ異なる計算モデルと
初期値の設定で予測を行っています。
台風26号について
機関ごとに進路の見立てが分かれているのも、
このアンサンブル予報的な不確実性が、
各国の異なるモデル間で表れている結果だと
理解すると、腑に落ちやすくなります。
つまり「AIが未熟だから予測が外れる」のではなく、
「複数の可能性がある」こと自体を、
科学的に誠実に示している状態が、
あの大きな予報円の正体なのです。
この”予測できなさ”と、どう付き合えばいいのか
台風26号のように進路が固まらない段階では、
「まだ分からないから様子を見よう」ではなく、
「複数の可能性があるからこそ、早めに備えておく」
という発想の転換が役立ちます。
✅ 予報円だけでなく、
複数の予報時刻の発表を見比べる
✅ 「70%の確率」という数字の意味を
意識して受け取る
✅ 進路が固まる直前(1〜2日前)まで、
備えを前倒しで進めておく
✅ 気象庁・ウェザーニュースなど、
複数の情報源を確認する習慣をつける
気象庁「台風情報」
https://www.jma.go.jp/bosai/typhoon
よくある質問
Q. AIを使えば、いずれ予報円はなくなりますか?
A. 観測技術や計算モデルの精度は
年々向上しており、予報円自体は
少しずつ小さくなってきています。
ただし大気の
「初期値のわずかな誤差が時間とともに拡大する」
という性質そのものは科学的な限界であるため、
予報円が完全になくなることは
考えにくいとされています。
Q. 機関によって進路予想が違うとき、
どれを信じればいいですか?
A. 1つの機関の予報だけに頼るのではなく、
複数の機関の発表を見比べることで、
「進路がどれくらい不確実な状態か」を
把握することができます。
見立てが大きく分かれているときほど、
早めの備えを優先してください。
Q. 「強い」勢力という予報も、
途中で変わることはありますか?
A. はい、
勢力の予報は進むコースによって
大きく変わることがあります。
進路予報と勢力予報は
セットで変化していくものなので、
どちらか一方だけを見て安心するのではなく、
両方を継続してチェックすることが大切です。
SONAEAREBAからのメッセージ
台風26号「スリゲ」は、
26日に「強い」勢力へ発達する見込みですが、
その先の進路はまだ台湾方面か
日本の南への北上か、確定していません。
これは気象庁やAIの技術が未熟だからではなく、
大気という現象そのものが、ごくわずかな
初期値の誤差を数日で大きく増幅させてしまう、
根本的な性質を持っているからです。
「まだ分からないから様子を見よう」ではなく、
「複数の可能性があるからこそ、早めに備えておこう」。
この発想の転換が、かすめる台風にも、
直撃する台風にも、どちらにも対応できる
備えにつながります。
SONAEAREBAはこれからも
「知る防災」を発信し続けます。
最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。
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