こんにちは!SONAEAREBAです。
大きな地震が起きるたびに、
SNSでこんな投稿を見たことはありませんか。
「これ、人工地震じゃない?」
「HAARPが関係してるらしい」
「○○国が地震兵器を使った」
今日は、この「人工地震説」が
なぜ繰り返し現れるのか、
そして災害時に正しい情報をどう見分けるかを、
心理学とデータの両面から解説します。
「人工地震説」は地震が起きるたびに必ず現れる
まず知っておいてほしい事実があります。
東京大学空間情報科学研究センターの調査によると、
2024年の能登半島地震では、
SNS上の偽誤情報の事例として
「人工地震・原発等に関する陰謀論」が
イデオロギー的動機に基づく投稿として
確認されています。
出典:総務省
「令和6年能登半島地震におけるデジタル空間の
偽誤情報流通状況の報告」
東京大学・澁谷遊野・中里朋楓
https://www.soumu.go.jp/main_content/000930877.pdf
そして、
これは能登半島地震だけの現象ではありません。
能登半島地震において、
偽情報は全体約70万件のごく一部にすぎないことが
確認されていますが、量は少数であっても
「人工地震」言説そのものは、
大きな地震のたびにほぼ必ず出現しています。
出典:スペクティ
「青森県東方沖地震と能登半島地震における
SNS偽情報の比較」
https://spectee.co.jp/report/earthquake_fakenews_
comparison_noto_aomori/
「ほぼ必ず出現する」
——これが重要なポイントです。
人工地震説は特定の地震に対する特別な反応ではなく、
大地震が起きたときに人間が起こす
「お決まりの反応」なのです。
直近でも起きていた——函館・北海道での実例
昨年も、同じ現象が確認されています。
函館市で震度5強を観測した地震でも、
SNS上で「人工地震だ」といった
誤情報が拡散しました。
Xでは、地震直後から
「人為的に引き起こされている」などと
非科学的な内容や陰謀論を含む
投稿が目立つようになりました。
出典:北海道新聞デジタル
「『人工地震だ』SNSに誤情報 過去の地震でもデマ」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1249811/
さらに、地震に関するデマは
「人工地震説」以外にも様々な形で広がります。
2016年の熊本地震では
「動物園からライオンが逃げ出した」、
2018年の胆振東部地震では
「数時間後に大きな地震が発生する」
「断水する」などの誤情報が拡散し、
自治体が問い合わせ対応に追われました。
今年4月にも、
地震デマの新しいパターンが報告されています。
地震を巡るデマがSNSで拡散し、
「人工」を指摘する投稿が6000件超にのぼりました。
短文投稿アプリ「Threads」では、
地震発生の数日前に「震度5以上が来ます」と投稿され、
約1万件の「いいね」が付きました。
動画投稿アプリ「TikTok」には、
生成AIで作ったとみられる、倒壊した建物から
避難する人々の動画もありました。
出典:時事ドットコム
「地震巡るデマ、SNSで拡散『人工』指摘投稿、
6000件超」2026年4月
https://www.jiji.com/jc/article?
k=2026042200660&g=soc
生成AIによる偽の被災動画まで登場しています。
デマの手法は、技術の進化とともに巧妙化しています。
なぜ人は「人工地震説」を信じてしまうのか——心理学的な理由
ここからが今日の核心です。
なぜ、科学的根拠のない説が、
地震のたびに繰り返し広がるのでしょうか。
理由①「理由が欲しい」という心理
なぜ「人工地震」説が広がるのでしょうか。
その背景には、災害時の不安や混乱、
情報の錯綜があります。
大きな地震が起きると、人は理由を求めたくなり、
陰謀論やデマに飛びつきやすくなります。
「なぜこんなことが起きたのか」という問いに、
自然現象という答えは時に「無情」に感じられます。
「誰かが起こした」という説明は、
不安な心に「理解できる物語」を与えてくれます。
これが陰謀論が生まれる心理的な土台です。
理由②「情報の不足」が陰謀論を生む
デマが広がる原因は大きく二つ考えられます。
人々の潜在的な不安と、情報の不足です。
被災や復旧について知りたいのに、
情報が入ってこない。
不安と緊張を強いられる中、
情報の需要に供給が追いつかなくなると、
何かのきっかけでデマが広がります。
公式情報が出るまでの「空白の時間」に、
人々の不安が情報の真空を埋めようとします。
その真空を埋めるのが、デマや陰謀論です。
理由③「不安を共有したい」という心理
北海道大学広域複合災害研究センターの
川村壮特任准教授は
「誤情報の拡散は、差し迫った脅威を人に伝えたい
不安を共有したいという思いから起こる」
と指摘しています。
出典:北海道新聞デジタル
「『人工地震だ』SNSに誤情報」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1249811/
「これは大変なことだ」と誰かに伝えたい。
その気持ち自体は人間として自然なものですが、
確認されていない情報を「とりあえず共有する」行動が、
デマの拡散力を一気に高めます。
理由④ 情報空白が小さいと陰謀論も広がりにくい——逆の事例
興味深いことに、公式情報が早く十分に出れば、
陰謀論の拡散は抑えられるというデータもあります。
青森県東方沖地震では、
津波高が限定的で壊滅的被害が発生しなかったこと、
行政・メディアの公式情報が比較的早期に出そろい、
大きな「情報空白」が生じにくかったことから、
偽情報や陰謀論的投稿が拡散する余地は小さかったと
考えられます。
これは重要な発見です。
「公式情報が早く・十分に出る」ことが、
陰謀論の拡散を防ぐ最大の対策だということです。
逆に言えば、
私たち一人ひとりが公式情報に早くアクセスする習慣を
持つことが、デマに惑わされない最大の防御になります。
気象庁の公式見解——「人工地震」も「地震予知」もデマ
ここで明確にしておきたいことがあります。
気象庁は
「現在の科学的知見からは地震の予測は難しく、
日時と場所を特定し、
予知する情報はデマと考えられる」
としています。
出典:時事ドットコム
「地震巡るデマ、SNSで拡散」
https://www.jiji.com/jc/article?
k=2026042200660&g=soc
「○月○日に地震が来る」という予言。
「これは人工地震だ」という主張。
どちらも、現在の地震学の知見では
科学的に支持されていません。
地震調査研究推進本部・気象庁といった
日本の地震研究の中心機関は、
こうした説を一切採用していません。
SONAEAREBAがこれまで紹介してきた
スロースリップ・臨界度・深発地震といった研究も、
すべて観測データに基づく科学的な研究です。
「人工地震説」とは、
根本的に立っている土台が違います。
災害時に「正しい情報」を見分ける5つの方法
では、災害時にデマに惑わされず、
正しい情報をどう見分ければいいのでしょうか。
方法①「公的機関のサイトを最優先で確認する」
東北大災害科学国際研究所の佐藤翔輔准教授は
「必要な情報は公的機関のウェブサイトなどで収集し、
SNSから距離を置くことも選択肢の一つだ」
と話しています。
地震が起きたら、
まず確認すべきは以下の公式サイトです。
👉 気象庁「地震情報」
https://www.data.jma.go.jp/multi/quake/
index.html?lang=jp
👉 NHK「地震速報」
https://news.web.nhk/kishou-saigai/earthquake/
👉 内閣府防災情報
https://www.bousai.go.jp/
SNSで見た情報は、必ずこれらの公式サイトで
「裏付け」を確認してください。
方法②「投稿の出どころを確認する」
「○○さんから聞いた」「友達が言ってた」
という伝聞情報は、確認できません。
投稿者が誰か、どの公式機関が発表したものかを
確認する習慣をつけてください。
方法③「断定的な予言は疑う」
「現在の科学的知見からは地震の予測は難しく、日時と
場所を特定し、予知する情報はデマと考えられる」
「○月○日に地震が来る」という断定的な投稿は、
現在の科学では不可能な予測です。
このような投稿を見たら、
即座にデマと判断して構いません。
方法④「不安や恐怖を煽る表現に注意する」
「絶対に」「確実に」「○○が隠している」
——強い感情を煽る表現は、デマの典型的な特徴です。
科学的な情報は、
むしろ「不確実性」を正直に伝える傾向があります。
「可能性がある」「現時点では断定できない」
という表現の方が、信頼できる情報源の特徴です。
方法⑤「拡散する前に、一度立ち止まる」
専門家は出所不明な情報を
安易に拡散しないよう呼び掛けています。
「これは大変だ、みんなに知らせなきゃ」
という気持ちは自然なものです。
でも拡散する前に、
一度「これは公式機関の発表か?」
と自分に問いかけてください。
その数秒が、デマの拡散を防ぎます。
SNS各社の対策——コミュニティノートの効果
最近のプラットフォームでは、
デマ対策の仕組みも進化しています。
能登半島地震はコミュニティノート機能の
実装以降初めての国内大規模災害であり、
実装以降最大のノート作成数及び
最大のノート作成新規ユーザー数を記録しました。
一般ユーザーの参加による
ボトムアップ的な修正投稿や注意喚起情報が、
比較的早いタイミングで行われるなど
ファクトチェック的な役割を果たす可能性が
示されています。
出典:総務省
「令和6年能登半島地震における
デジタル空間の偽誤情報流通状況の報告」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000930877.pdf
X(旧Twitter)のコミュニティノートのような機能は、
デマの訂正に一定の効果を上げています。
ただしコミュニティノート自体が偽誤情報の流通に
貢献してしまう可能性も含めて多角的な検証が必要とも
指摘されており、完璧な仕組みではありません。
最終的には、私たち一人ひとりの情報リテラシーが
最も重要な防御線です。
今日のチェックリスト
□ 気象庁「地震情報」公式サイトをブックマークした
https://www.data.jma.go.jp/multi/quake/
index.html?lang=jp
□ 「人工地震説」「地震予言」は
科学的根拠がないことを理解した
□ SNSで地震情報を見たら、
公式サイトで裏付けを確認する習慣をつけた
□ 「断定的な予言」「強い感情を煽る投稿」には警戒する
□ 確認していない情報は拡散しないことを心がけている
SONAEAREBAからのメッセージ
大地震が起きるたびに「人工地震だ」
という声がSNSに現れます。
これは特別な現象ではなく、
人間が不安なときに繰り返す「お決まりの反応」です。
不安な気持ちそのものは、
誰にでも起こる自然なことです。
問題は、その不安を「科学的根拠のない説」で
埋めてしまうことです。
SONAEAREBAがこの2ヶ月間お伝えしてきた
スロースリップ・臨界度・深発地震・南海トラフ
——これらはすべて、気象庁・大学・研究機関の
観測データに基づく科学的な情報です。
「わからないことは、わからないと正直に言う」
のが科学の姿勢です。
その誠実さこそが、デマとの最大の違いです。
地震が起きたとき、
まず公式機関のサイトを確認する。
断定的な予言や、
強い感情を煽る投稿には距離を置く。
拡散する前に、一度立ち止まる。
この3つを今日から実践してください。
それが、あなた自身とあなたの周りの人を、
デマから守る最善の備えです。
SONAEAREBAはこれからも、
公式情報に基づいた
「知る防災」を発信し続けます。
最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。
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