「台風が近づくと地震が起きやすい」は本当か?科学的に検証してみた。

自然災害を考える
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こんにちは!SONAEAREBAです。

「台風・低気圧が近づくと地震が起きやすい」
——漁師の間で語り継がれてきた言い伝えとも、
都市伝説とも言われるこの噂。

今日は、実際の科学研究に基づいて、
正面から検証します。


先に結論からお伝えします。

「全くのデタラメではないが、
『台風が来たら大地震が起きる』
というような単純な話でもない」

——これが、
現時点の科学が示す最も正確な答えです。


まず、この噂の「歴史」——漁師の言い伝えから始まった


この噂は、
決して最近生まれたものではありません。


漁師の間には「低気圧になると地震が起きる」
との言い伝えがあります。

地面を押しつける気圧の力がグッと弱まって、
地震が起きる可能性がある
——地震発生の臨界状態にある場合には、
低気圧が「最後の一押し」になるかもしれない、
と言われてきました。


長年海と向き合ってきた漁師たちの経験則が、
この噂の出発点です。

そして実は、
この「経験則」を科学的に検証しようとする研究が、
実際に世界で行われています。


科学研究①「台風がスロー地震の引き金になる」——カーネギー研究所の発見


最も重要な研究成果から紹介します。


台風が上陸すると陸上の気圧が低下し、
結果として地震がいくらか起こりやすくなるという
研究成果が発表されました。

ただし、台風は地震の最終的な引き金にすぎず、
その前の時点で断層運動の準備が整っていなければ
ならないといいます。

出典:ナショナルジオグラフィック日本版
「台風が“スロー地震”の引き金となる」
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/
news/14/1294/


ここで重要な言葉が「スロー地震」です。


スロー地震とは、
地殻変動でもたらされた断層のひずみによる
エネルギーが、数分から数日かけてゆっくりと
解放された場合に発生する地震です。

揺れは非常に微弱であるため、
通常の地震計では検出されず、
人が感じることもありません。

出典:ナショナルジオグラフィック日本版


ワシントンD.C.にあるカーネギー研究所の研究チームが、
台湾の東海岸に高感度の地震計を設置し、
5年間にわたって観測を行いました。


5年間の研究期間で、
スロー地震は台湾の台風シーズンに集中して発生し、
台風と同時に発生したケースが11回確認されました。


ここで、絶対に見落としてはいけない
重要なポイントがあります。

この研究が対象にしているのは、
「私たちが感じるような大きな地震」ではなく、
「人間には感じられないほど微弱な、スロー地震」
です。


しかも、スロー地震には興味深い側面があります。


スロー地震によって
もっと大きな範囲の地震エネルギーが緩和され、
大規模な地震の発生が抑制されている可能性がある——
科学者たちはこの点に大きな関心を寄せています。

出典:ナショナルジオグラフィック日本版


つまり、この研究が示しているのは
「台風が来ると危険な大地震が起きやすい」ではなく、
「台風が、むしろエネルギーを少しずつ逃がす
“ガス抜き”の役割を果たしている可能性がある」

という、噂とは逆の側面すらあるということです。


科学研究②「豪雨・台風と大地震の関係」——マイアミ大学の研究


もう一つ、重要な研究があります。


米マイアミ大学の研究チームは、
過去50年間に台湾とハイチで発生した
マグニチュード6.0以上の大地震について分析し、
地震発生前の4年以内に、被災地が大型熱帯低気圧に
見舞われていることを確認しました。

この研究では、豪雨による土砂崩れや侵食で
地表付近の地盤が動き、断層にかかる負荷が
取り除かれてずれやすくなったと説明しています。

出典:ナショナルジオグラフィック日本版
「豪雨が数年後の大地震を誘発?」
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/
news/14/5366/


この研究が示しているメカニズムは、
「気圧が下がるから地震が起きる」
という単純な話とは異なります。


台風・豪雨
 ↓
大量の雨による土砂崩れ・地表の侵食
 ↓
断層にかかっていた「重し」が取り除かれる
 ↓
断層がずれやすい状態になる
 ↓
(数年かけて)地震が発生しやすくなる

ここでも重要なのは「地震発生前の4年以内」という、
非常に長いタイムスケールです。

「台風が来た直後に地震が起きる」
という即時的な話ではなく、
「台風・豪雨による地表の変化が、数年単位で
じわじわと断層に影響を与える可能性がある」

という、長期的なメカニズムです。


もう一つのメカニズム——「海水が持ち上げられる」説


日本国内でも、
独自にこのテーマを検証している情報があります。


台風のメカニズムとして、
大気が押さえつけていた海水が、
台風(≒低気圧)によって海底ごと持ちあげられ、
海底・地殻に掛かる力が減少して地震が発生する、
という説明がされることがあります。

ただし現在、科学的に因果関係が
証明されたわけではないとしています。

出典:地震の窓口
「豪雨や台風が地震のきっかけに!?
 本当なのか調べてみた」
https://www.jihoken.jp/mado/cat1/2374/


このサイトでは、過去の大雨・台風と、
地震が「時期的に近く」発生した事例を
いくつか紹介しつつも、
「科学的に因果関係が証明されたわけではない」
と明確に記しています。


これは、非常に誠実な書き方です。

「〇〇のときに地震が起きた」
という事例だけを並べると、
あたかも因果関係があるように見えてしまいますが、
それは「相関」であって「因果」ではありません。


なぜ「証明が難しい」のか——科学的な限界


ここで、このテーマの科学的な難しさを
整理しておきます。


① 地震は「常に」どこかで起きている

このシリーズで7月にお伝えした通り、
M6クラスの地震は世界のどこかで
平均2〜3日に1回起きています。

「台風が来た日の近くに地震が起きた」という事例は、
ある程度の頻度で「偶然」起こりえます。


② 「引き金」と「原因」は違う

カーネギー研究所の研究者自身が言っている通り、
「台風は地震の最終的な引き金にすぎず、その前の
時点で断層運動の準備が整っていなければならない」

——つまり、
そもそも地震を起こすだけのひずみが
断層に蓄積されていなければ、
台風が来ても地震は起きません。

「台風が原因で地震が起きる」のではなく、
「もともと限界に近かった断層に、
台風が最後の一押しを与えることがあるかもしれない」

というのが、正確な理解です。


③ 検証には「非常に精密な観測」が必要

スロー地震の研究のように、微弱な変化を捉えるには
高感度の地震計と長期間の観測が必要です。

こうした精密な検証ができる地域・期間は
限られており、「日本全国で必ず当てはまる」
と一般化することはまだできません。


結論——「デタラメではないが、単純な話でもない」


今日の検証結果を整理します。


✅ 科学的に確認されていること
・台風が「スロー地震」
(人には感じられない微弱な地震)の
 引き金になりうるという観測データがある
(カーネギー研究所)
・豪雨・台風による地表の変化が、数年単位で
 断層に影響を与える可能性が指摘されている
(マイアミ大学)

❌ まだ証明されていないこと
・台風の接近が「大きな被害地震」を
 直接引き起こすこと
・気圧の低下だけで断層が動くという
 単純なメカニズム
・「台風が来たら数日以内に大地震が来る」
 という即時的な関係

「台風が近づくと地震が起きやすい」は、
一部の科学的研究に裏付けられた側面はあるものの、
「だから台風のたびに大地震を心配すべき」
という結論にはつながりません。


SONAEAREBAとして、私たちが伝えたいこと


このシリーズでは6月に「人工地震説」
8月に「阿蘇山カルデラ噴火」の記事で、
同じ姿勢を貫いてきました。

「噂を頭ごなしに否定しない。
でも、科学が示す範囲を超えて煽らない。」


「台風と地震の関係」は、
まさにその典型的なテーマです。

完全なデタラメと切り捨てるのは
正確ではありません。

でも「台風=地震の予兆」と結びつけて
過度に怖がるのも、正確ではありません。


今、このシリーズで追いかけている台風18号や、
令和8年熊本地震の余震活動——
これらを結びつけて不安に思う必要はありません。

それぞれの理由で警戒すべきものであり、
「台風だから地震も来る」と考えるのは、
現時点の科学的知見からは支持されません。


私たちが今すべきこと——「噂」より「備え」


台風と地震、それぞれに応じた備えを、
このシリーズで紹介してきた通り進めてください。


✅ 台風への備え:気象庁「台風情報」を確認する

✅ 地震への備え:ハザードマップ・
  在宅避難の備えを確認する

✅ どちらにも共通する備え:ポータブル電源・
  水・食料・携帯トイレ


SONAEAREBAからのメッセージ


「台風が近づくと地震が起きやすい」

この噂は、漁師の経験則から生まれ、
今では一部の科学研究によって
「完全な迷信ではない」
ことがわかってきています。


でも「スロー地震」という、
人には感じられないレベルの話であり、
「台風=大地震の前触れ」という単純な図式は、
科学的には支持されていません。


噂を鵜呑みにして
必要以上に怖がる必要はありません。

でも「絶対に関係ない」と決めつけるのも、
正確ではありません。


大切なのは、
噂に振り回されることではなく、
台風にも地震にも、
それぞれきちんと備えることです。


SONAEAREBAはこれからも、
噂や不安に対して、
科学的に誠実な情報をお届けします。

最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。



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